うつ病物語 その149「うつ病の薬、本格的に減薬へ」

いつも患者目線の医師

医師「う~ん…、私は確かに〇〇さんが体調を崩して、初めて病院にいらした時からのことを全て診てきた訳ではないですからね。」

”うつ病”になった私のことを診察してくれた歴代3人目の医師、もうじき2年になろうかという担当医師は、”ん~困ったなあ”という表情を隠さずにこう言った。

優しい物腰であっても、どうしても上から目線になってしまうことが多いはずの医師という職業なのに、この担当医師は、患者に対していつも正直でフラットなタイプだった。特に”精神科”という特殊なところを受診している私としては、診察を重ねる度に、この医師に対する好感度が増していた。

私「ええ、そうですよね。私は転院してこちらに来ましたし、その時は別の先生でしたから。」

最初は、前の先生の方が…などとも思った医師だったが、今では何の不満も無い。

”うつ病の薬”とどう付き合っていくのか?

医師「ん~、しかしそれでも、医師の立場として言いますが、”うつ病”を再発した方の場合は、薬を飲み続けた方がいいと思いますよ。」

私「…はい、う~ん、説明が難しいんですけど、今となって振り返ると、2度の休職はしましたが、病気としては繋がっていると思うんです。5週間の休職を経てその後一旦治り、半年後に再発してまた休職したのではなく、ちょっと良くなったところで復職したものの、また悪化した、と。」

医師はじっとこちらを見て、私の話を聞いている。

私「あの当時は病気の真っ最中だったので、こういうことも良く分からなかったのですが、元気になった今では、そう思うんです。」

事実、1回目の復職時は、「まだ早すぎる」と当時の担当医師に叱られたなかでのものだった。うつ病は、かなりの長期間を経て進行していき、そして発症に至る。よって回復に要する時間も、相当に長い時間が必要になる。

5週間会社を休んだ程度では、うつ病の悪化をストップさせることが出来るのが関の山であり、回復の療養期間としては全く足りていない。

医師「…考え方ですけどね、薬を止めてしまって、もしまた悪くなることがあったら、その時にまた飲み始めようという考え方もあります。そういう方もいます。」

医師は、私の説明には半分納得、半分疑問といった感じの反応だったが、微妙に主題を変えてきた。

私は正直、なるほど、と思った。薬を一生飲み続けるのにはどうにも抵抗がある。再発は絶対にしたくないので、医師が言う通り飲み続けた方がいいのかも知れないが、私は薬を半永久的に飲み続けるという行為は、最終的に人間をダメにするような考えをどこかで持っている。勿論、何の確証も専門知識も無いが、生理的にそう思うのだ。

医師「どうします?薬の処方を出しますか?それとも止めますか?飲まないものを処方しても仕方ないですからね。」

医師は、全く不機嫌でも呆れている風でもなく、すっと私の位置に降りた感じで提案をしてきた。

私は、少し間を置いてからこう言った。

私「…今から全く飲まなくなるのは不安があるので、3週間分だけ出して下さい。残っている分と合わせてひと月半分くらいになるので、それでやってみます。」

医師「そうですか、ではそうしましょう。次の診察は2か月後でいいですか?」

私「はい、お願いします。」

こうして、患者側の主導により、”うつ病の薬を減薬する”生活がスタートすることになった。

 

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