うつ病物語 その191「会社はなぜ休ませずに人事異動させたのか?」
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Sさん異動人事の噂

Sさんが休み始めて2週間も経っておらず、まだ精神疾患と診断されてもいない段階なのに、もう総務部から異動するという噂が流れるのは普通はあり得ないことだ。

こういった人事系の話は直ぐに噂になるが、その噂が、誰かの想像や予想しただけの根拠のないものなのか、それともホントの決定事項が発表前に漏れたものなのかどうかは、その内容で大体分かる。

Sさんは、会社を休みだす一週間前に、突発的な業務で人手が欲しい工場に応援という形でやってきたが、その際にはPCも運び込んで完全に引っ越しており、私も皆も、「え?なんで?」と思っていた。

コロナ感染防止対策で社員は建屋間の移動を極力抑えるという制限があり、その一環で色々なことがあるが、それにしても総務部長のSさんが座席ごと引っ越してくるのは違和感があったし、噂されたSさんの異動先での職位や業務内容はとても現実的だった。

私は、これは誰かがリークした本物だと噂を信じた。そして案の定、噂から10日後にはその通りの内容で人事発令が出た。

うつ病だから人事異動?

しかし、このスピーディな人事異動は何か釈然としない。Sさんが休みだす前、総務部から引っ越ししてくる前の段階で工場への異動が決まっていたとしか思えない。

何かのトラブルでもない限り、総務部長になった人がたった半年で工場に異動なんて聞いたことがない。そんな人事が行われるということは、Sさんは周囲に明らかなレベルで変調をきたしていたのではないか‥?

このまま今の部署に置いていても回復は見込めないので異動させて再起を、というのは、うつ病疾患者を職場復帰させるための有効な手法であり、私もそういう経緯で回復することができた。

経験者としてそれはそのように思うが、しかし、会社、役員Aや上司A、上司B達は、もっと先にしなければならないことがあった。

それはSさんを休ませることだ。

Sさんの責任感と忍耐力が、自身の弱り切った姿を覆い隠していたのかもしれないが、上役達や職場はSさんの変調にもっと敏感に向き合わなければいけなかった。

いい大人なんだから、と、本人に判断を任せてもいいのは健康な人に対してだけだ。これは後から聞いたことだが、休職前のSさんは、何かを説明していても聞いている方は???となるような話し振りだったり、デスクで集中して仕事をすることが出来ずに頻繁に席を外していたようだ。

うつ病になる人は、かなり苦しくても耐えようとするタイプが多く、そのせいで限界点まで引っ張ることになり結果、より重症になったり、時には最悪のケースにも繋がりかねない。

会社はなぜ休ませずに異動させたのか?

総務に馴染めず苦労している(仕事のスピードも向上しない) → 体調を崩している様子 → そこまで重症ではないだろう → 異動させて新天地で再生させよう

という考え方でスピーディな異動が行われてしまったが、結果、異動して一週間でSさんは長期休みに入ってしまった。会社は、このような周囲がビックリするような人事異動が、本人にどう受け取られるか慎重に想像したのだろうか?

・総務部長になって半年で戦力外通告された

・自分には能力がないのだ

・同僚達や職場はどう思っているだろうか?

・体調は悪いが新しい環境で頑張らなくてはならない

というショックとストレスとプレッシャーが混じり合ったものが、Sさんの状態を一気に悪化させるというリスクは考えなかったのだろうか?

心身ともにどん底近くまで落ちている社員が、環境を変えたからといって順調な回復カーブを描く可能性は低い。まず、十分に休ませて回復基調に乗ってから、落ち着いて配属先を考えるのが本来の進め方だ。

ここの判断を正しく慎重に行えないところに、役員A他の経営陣と総務部管理職が抱えている問題(というより欠陥)の一端が顕著に現れている。

 

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