うつ病物語 その130「調子が良い時の診察は…」

うつ病物語

すっかり慣れてしまった「精神科」

最悪期を過ぎて回復し、順調に経過している今は、病院へ向かう足取りも軽い。今なら、「体調はどうですか?」と聞かれても、自信を持って「はい、良くなりました。」と言うことが出来る。病院へも楽な気持ちで行けるというものだ。

受付を済ませて待合室に入る。今日は待っている人が少なかった。壁に掲示されている担当医の診察進行具合を見ると、遅れ無しで進んでいるようだった。

初めはあんなに抵抗があった「心療内科」と「精神科」だったが、こうして通うのに慣れてみると、内科や眼科と何も変わらない。ただの「病院」である。

どうしても心療内科や精神科という場所は、初心者には敷居が高く、また、そういう病院に通っていることを他人には言いにくい。しかし私は、ここに至って、そういった抵抗の類は殆ど無くなってしまった。

ひとつは、自身が”うつ病”を患ったことで、精神疾患に対する誤った認識が正されたこと、ふたつめは、例えば洗脳のような怪しげな診察をされるのではないことが分かったこと、みっつめは、処方される薬の効果が、良い意味でハッキリしないことである。

特に「抗うつ薬」に関しては、もっと劇的な効果があるのかと思っていた。薬が効いている間は気力が漲るが、切れると落ち込む…。うつ病患者に処方される薬について私は、こんな風に勝手にイメージしていたのだが、実際には全く違った。

現在、処方される、うつ病の薬は、例えるならビタミン剤やサプリメントのような、患者の精神状態を側面支援するような、あくまで補助的な効能しかないようだ。

調子が良い時の診察は…

「〇〇さん、〇番診察室にお入り下さい。」

そんなことを考えていると、呼び出されてしまった。私は慌てて診察室に入る。

医師「こんにちは。〇〇さん、この一ヶ月はどうでしたか?」

私「はい、順調に経過していると思います。新しい職場にも慣れてきて、早出や残業もやっていますが、極端に疲れることもなく過ごせています。」

医師「なるほど、残業も出来ているのなら、それだけ調子が良いということですね。」

私「ええ、職場の方は、色々と気遣ってくれて助かっています。」

医師「そうですか。この調子なら、次の次の診察、…えーっと10月になりますが、薬を減らしていけるかもしれません。」

私「え?ああ、そうですか!」

医師「では、次の診察日も一か月後にしましょう。」

調子が良い時の診察は、トントン拍子に直ぐに終わる。深刻な表情をして夫婦揃って出向いていた時とは雲泥の差だった。

 

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