うつ病物語 その58「回復は順調、しかし、いい事ばかりではない」

うつ病物語

転院後の回復は順調

その後も、体調は良好に推移した。気力が高まることによって、仕事を先手で考えられる場面が増え、徐々に自信もついてきて、良い仕事が出来るようになってきた。ストレスやプレッシャーのかかる局面もあったが、必要以上に過敏に受け止めることもなく、普通に対処出来るようになってきた。会社も繁忙期を過ぎ、久し振りに連休があったが、休日を過ごしている時に、急に落ち込んだりすることも無かった。こうなってくると、次回の診察日も何だか楽しみになってくるのだった。

 

転院後3回目の診察

前回から1ヵ月開けての診察日、ずっと順調なので気楽に構えていた。心療内科や精神科等の医師という存在は、辛い時にあたれば救いの手差し伸べてくれる相手となり、順調な時にあたれば更に背中を押してくれる相手となり、と、悪いことはひとつもない。

医師「ちょっと期間がありましたが、如何でしたか?」

私「はい、順調だったと思います。精神的なタフさが増してきたというか、そんな感じです。」

医師「あ、そうですか、それは良かったですね!」

この先生は、私の病状報告に対し、良かった時には嬉しそうに笑顔を向けてくれるので、こちらとしてはとても幸せな気分になってしまう。具体的な薬の処方やアドバイスに関しては、以前の心療内科の先生と大差ないのだが、ここは大違いであった。

順調な時は、診察も直ぐに終わる。薬も、現在のまま、就寝前のリフレックス錠30㎎と、毎食後のスルピリド錠50㎎となった。

 

とは言え、いい事ばかりではない

この頃、上司Aとの面談があった。定期的に機会を持ってくれて、これには本当に感謝していた(しかし、こちらから声掛けした時は嫌そうな反応が多い)。

上司A「最近はどうだい?」

私「ええ、安定しています。良くなっていると思います。」

上司A「うん、どのくらいまで回復した感じなんだ?」

私「…そうですね、80%から90%くらいにはなってきたかと。ただ、集中力や思考力は足りない感じです。」

上司A「そうか、この病気は再発を繰り返しやすいみたいだから、それが心配だな。再発すると重症化するというし。」

私「はい、それは自分でも心配しています。」

上司A「業務配分は今のまま、引き続き配慮していくので、体調悪化の兆候が出た時は直ぐに言ってくれ」

私「分かりました。」

上司A「それとな。」

上司Aの顔つきが変わった。これはあまりいい話ではない。私は少し身構えた。

上司A「年末賞与の査定だけど、復職後の短時間勤務のところはマイナスしないように言ってあるが、長期休暇の時に減額されるのは仕方がない、これは覚悟しておいてくれ。管理職はこの辺はシビアになってくるからな。」

私「はい、仕方ないですよね…。」

自身の賞与がマイナスされるのは仕方がないと思うが、いわば加害者である役員Aは何のペナルティもないのは面白くなかった。私は私で、会社の要求を完遂しようとしていたが、パワハラによって体調を崩してしまったのである。喧嘩両成敗じゃないが、これでは、私が弱いから病気になったと言わんばかりではないか、と思った。

そして帰り道、この悪い知らせを妻にどう話そうか考えているうちに思った。そうか、会社はやはりそう思っているということか、…そうか、そういうことか。25年も務めてきてこれでは、何だか馬鹿らしい気持ちにもなるが、これが会社と雇用される側の力関係でもある。私は、経済的収益を得られる別の何かを持たなくてはならない、そうした危機感を感じるのだった。

 

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