うつ病物語 その59「回復基調からの急降下」

うつ病物語

久し振りの緊張感

今日は、役員Aと上司2名に対して、新規導入を進めている業務システムの説明会の日だった。もう長い間難航している案件で、うつ病発症の引き金のひとつでもあった。私は、数日前から気が重かったが、朝の緊張感と不安感は相当なものだった。果たして上手くいくだろうか?また叱責されるんじゃないだろうか?といった不安ばかりが頭に浮かぶ。最近の調子の良さが嘘のようだった。

嫌な予感が的中してしまう

硬い表情で出勤し、約束の時間である10:00まで説明資料のチェックをする。ああ、何とか上手くいってくれて、この不安感が杞憂だったという風にならないだろうか…。そんなことを思っているうちに、直ぐに時間になった。役員Aと上司2名に声を掛けて、別室に移る。

私「では、新規導入を進めております業務システムの説明を致します。では、配付資料の1番ですが…」

緊張感を奥に押しやりながら説明を始める私。かすかに声が震えているのが自分でも分かる。役員Aは憮然とした表情で資料を見ている。嫌な予感が急速に沸き起こるが、流れに沿って説明を続ける。そして、準備した資料の2割くらいを説明したあたりで、役員Aが口を開いた。

役員A「おい、どうなっているんだ。」

私「どうなっているかと言いますと…?」

役員A「なんで俺の許可なく、ここまで進めているんだと聞いてるんだ。」

私「いえ、この部分は、かなり前になりますが、役員Aにはご説明差し上げておりましたが…。」

役員A「うるせえ、俺は聞いてないぞ。なんでお前はいつも、進めてしまった後の事後説明なんだ?誰がここまでやっていいって言ったんだ!」

こうなると、もうダメなのである。このプロジェクト自体の期間が長くなりすぎて、初めのころの承諾を受けた部分はもう忘れているのか、気が変わったのかどちらかなのだが、役員Aの中では、もう無かったことになっているのである。こんなことは日常茶飯事だった。

パワハラ叱責を受けて縮こまる

私「あ、あの、しかしですね…」

役員A「お前はもう喋るな!」

ここから先は役員Aの独壇場となった。「俺の言っていることが分からないなら分からないと言え!」「黙ってないで言いたいことは全部言え!」などとまくしたてられ、「いいか?〇〇を全否定しているんじゃないぞ」としながらも、実際には一方的に叱責された。私も、上司2人も、黙って下を向くしかなかった。これはいつものことで、何か口に出せば、更に悪化することが分かっているからである。

この役員Aは、部下を委任するのではなく、1から100まで自分が知っていないと気が済まず、現場サイドや我々マターとされるような細部まで、全て自分の思った通りになっていないと面白くないタイプであった。その上、コロコロと考えが変わり、一度GOサインを出して業者に発注を掛けた案件でさえも、簡単に覆すような性格だった。

部下としては、一度、承諾をもらった部分についても、後から気が変わってダメになる可能性を常に考慮していなければならず、いかなる案件でさえも、非常に進めにくかった。

回復基調からの急降下

こうして、役員Aへの説明会は大失敗に終わった。私は、うつを発症した時のことを思い出すとともに、強いやり切れなさと自己嫌悪に陥った。

目に見えて調子を落とした私を見かねたのか、上司Aからは、その性格からしてどこまで本気かは分からないが、今回の業務システムのまとめ役は自分が引き受けるから気にしなくていいと配慮を貰い、上司Bからは、今は前面に立たず裏方に回って、体調回復を優先させた方がいいとの言葉を貰った。

私は、自分の情けなさと今後の先行きの悪さから、強く落ち込んだ。そして、私のうつ病は、実は大して回復していなかったのだと自覚するのだった。

 

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