C-C-B「すてきなビート」
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これも「中二病」なのか? C-C-B「すてきなビート」と私

C-C-B「すてきなビート」は、自分のこずかいで初めて買ったアルバムレコードで、ちょっと恥ずかしい思い出とともに、特別な感情がある。

14歳当時の自分は、もう安全地帯が一番好きな相手になっていたが、安全地帯に関しては母親もファンで強力なスポンサーになっていたため、私のこずかいは安全地帯以外に振り向けることが出来た。

C-C-Bについては既に「ラッキーチャンスをもう一度」のシングルを買っていた私は、B面に収録されていた「サーフブレイク」を聴いて、このバンドはシングル以外の曲も良さそうだと何の根拠もない自信を持ち、「C-C-Bのアルバムが欲しい!」という欲求が日増しに高まっている状態だった。

しかし、当時のシングルレコードは700円で、アルバムレコードは2,800円。中学2年生にとってアルバムレコードは、踏み込む勇気が必要な高額商品だった。

シングル700円でも安くはないが、失敗したとしても、ちょっとやり繰りを我慢すれば立ち直ることができる。しかし2,800円となるとそうはいかない。アルバムの中にグッと刺さったお気に入り曲がひとつも無かった時のダメージは非常に大きい。

C-C-Bの大ファンとまではいかなかった当時の私は、レコード店内の一角に立ち止まったり行ったり来たりしながら相当悩んだ。更に、別のレコード店に移動してみたりと、全く意味のないことをしながら熟考していた(当然、レコードの値段は同じ)。

この時の悩みは、C-C-B以外の別アーティストのアルバムにするかどうかではなく、アルバムレコードを買うか買わないのか?の悩み。

C-C-B以外にアルバムを買うほど興味のあるバンドやアイドルは居なかったし(YMO「ソリッド・ステイト・サヴァイバー」のことを知るのは僅かに後)、アルバムレコードを諦めれば、服を買えたし、更にもう1,500円足せば、ファミコンソフトも買えたからだ。

当時唯一だったC-C-Bサウンドの魅力

「すてきなビート」には、あの代表曲にして最高傑作の「Romanticが止まらない」が収録されていた。あのイントロを好きな時に最高音質で聴けるというだけでも、私には十二分にレコードを買う価値があった。

しかし、売れっ子になったC-C-Bはカラフルヘアーは良かったものの、ステージ衣装などを含めた見た目は、なんというかピエロっぽいというか、色物っぽい売り出し方をされていた。どう見てもチェッカーズとか吉川晃司の方がカッコいい。

特にこの「すてきなビート」は、全くそそられない恥ずかしいジャケットデザインで、私を気おくれさせる。

しかし、当時のC-C-Bサウンドの煌びやかなシンセ音、心地よい電子ドラムの響きは、他では得られない唯一のものだった。30分くらい悩んだ私だったが、ついに購入を決意、大きなアルバムレコードを大事に持ちながら自転車で帰宅した。

C-C-Bの通算3作目のアルバム「すてきなビート」の出来栄え

1曲目 笠浩二の魅力全開、当然の先頭打者「Romanticが止まらない」

2曲目 リーダー渡辺英樹の甘いボーカルとベースを堪能できる「急接近」

3曲目 ロマンティックに続くシングル「スクール・ガール」のまさかの関口ver「スクール・ボーイ」

4曲目 綺麗な小品、目を閉じて聴きたくなるアカペラコーラス「Forever」

5曲目 作曲は関口誠人、隙のない完璧な仕上がりを誇る傑作ポップス「二人のシーズン」

6曲目 軽快!だけど、このアルバムの中ではちょっと影が薄いか?「I SAY , I LOVE YOU」

7曲目 米川ギターがうねるシングル級のロックナンバー「浮気なジル」

8曲目 ラストは関口声でしっとり聴かせる「メモリーなんていらない」

「すてきなビート」は全て松本隆の作詞で、作曲は筒美京平5曲、渡辺英樹1曲、関口誠人2曲となっており、メンバー自作曲が早くも織り込まれているところに、C-C-Bがただの筒美京平プロデュースのアイドルバンドではないことが主張されている。

比較的短めの曲が多く、8曲ということもあるが全部聴いても30分。ちょっと物足りない感じがまたいい。

私に付き合って、初めてアルバムを通して聴かされた母親は、特にC-C-Bが好きとかでは無かったが「誰かひとつの音楽をしっかり聴いたって感じで、通して聴くのもいいものだね」という感想をもらし、私はアルバムレコードの楽しみ方とその魅力に納得した。

私の中では名盤でしかない

「すてきなビート」には、メンバー自作曲も入っているが、C-C-Bがテレビでは見せたことのない新味とか、そういうものは薄い。

あくまでも「ロマンティック~」が作った世界観の中で、そこからはみ出ないようにしながら、バラエティ豊かに聴かせようという熱が精一杯散りばめられている。

C-C-Bの代表作とか、名作とか、そういう位置付けじゃないけど、この8曲なら毎回フルコースで楽しみたくなる軽快さが、このアルバム一番の特徴かもしれない。

ちょっと意外だったのは、エース笠浩二が全面に押し出された感じはなく、かといってリーダー渡辺でもなく、むしろ関口誠人の作曲やボーカル曲が多いことだった。事実、この後の関口誠人は、徐々に存在感を増してポジションを上げていく。

当時、アルバムには10曲収録されることが普通で、なぜフルアルバムなのに8曲なのかと少し損をした気持ちにもなったが、2022年の今、改めて聴いてもC-C-Bのフレッシュな魅力がギュッと詰まったアルバムだった。

 

渡辺英樹さん、笠浩二さんのお二人は、若くして他界してしまったが、私はこの「すてきなビート」を一生忘れることはないだろう。

 

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