
みのもんたの秘密のケンミンショー
2006年から放送されている人気バラエティ「秘密のケンミンショー」でメインMCだった、みのもんたさんが2020年3月26日の放送で『卒業』した。
『みのもんた』のことは、私にとっては、上から目線の喋りが鼻についたので好きでは無かったが、この番組においては、肩ひじ張らないただの酒好きなオジサンだったし、何より都道府県民同士がふざけて罵り合う庶民ネタが面白かったので、テレビをあまり見ない私でもちょくちょく見ていた。
この日の放送は、みのさんの慰労会と銘打たれ、足掛け15年、これまで番組で食したケンミングルメ1249食(凄っ)から、みのもんたが「美味い!」と叫んだ珠玉のグルメベスト10を発表。
なんと、その第5位に私の地元、北海道の「糠さんま」がランクインしたのだ!
『糠さんま』とは何?
繋がりなんて無さそうな『糠』と『さんま』。一体何なの?と思われるだろうが、もう、そのまま、言葉のまま。何も捻ってない。
生のピチピチしたさんまを糠漬けにしただけの代物(笑笑笑)
その製法はナスとかキュウリの漬物と同じ。重石をして水分を抜き、一週間とか十日間置いたところで食べ頃。ナスやキュウリと違うのは、糠を払って、こんがりと焼いて食するところだけだ。
「普通の『塩さんま』が一番でしょ?」とか「やっぱり秋刀魚は大根おろしと醤油!」という意見もとても良く分かるんだけど、この『糠さんま』は、流石にひと手間掛けただけ、別の旨味がプラスされていて、塩味もいい塩梅でギュッと締まっている。
北海道から遠く離れた東海地区出身である私の妻は最初
「え?サンマを糠に漬ける…?いかにも北海道だね~なんか凄いんだけどw」
と『遥かなる北の大地ネタ』にウケる反応だったが、いざ食べてみると「美味しい!これ!」と高評価。
北海道の焼き魚というと、『トキシラズ(鮭)』とか『ホッケの開き』なんかが代名詞だが、この『糠さんま』は焼き魚マニアにお勧め!初めて食べた時は、糠に漬けていたとは分からないと思う。
なぜ『糠さんま』なんかが(失礼だけど)第5位に…?
全国津々浦々には、無数のB級グルメやその土地固有のモノ、また古くからの伝統的食し方があり、それぞれ本当に美味しいものばかりだ。そんな競合1249食の中から『糠さんま』を5位に評価したみのさん。
この番組には絶賛されたグルメや驚き食材が多数登場していたので、『糠さんま』なんかがベストテン入りして私にとっては驚きの結果だったんだけど、『さんまを糠に漬ける』という、ちょっとビックリする調理法、そしてそんなシンプルなひと手間で素材の価値を引き上げたところが、みのもんた氏のツボだったのかな…?と思う。
最近の秋刀魚は、戦後からの半世紀で最低の水揚げを毎年更新しており、庶民の味から離れつつある。海の大自然のことだから、またいずれ戻ってくるような気もするけど、このまま希少種になってしまうのでは?という不安は拭えない。
江戸時代以前からの庶民の魚『秋刀魚』の生態はまだまだ解明されておらず、資源管理といっても、今は獲る量を調整するだけ。
『代わりの魚を食べればいいじゃん』という考えの人もいるだろうが、そういうことじゃない。
こればっかりは神様にお願いするしかない。