
ガンダムのプラモデルである!
1980年代前半に、小学生から中学生だった男子なら一度は通った道、それは「ガンプラ」だ。
ガンプラとは、一時代を築いて現代まで脈々と続く系譜を作った偉大なアニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルの略で、当時は、地元の模型屋、おもちゃ屋、またプラモデルを扱う量販店で、入荷されるや否や行列ができて争奪戦になるほどに売れた。
現在では色々と物議を醸しだすが、「ザク」や「ドム」等の人気モデルと、「ホワイトベース」とか「ボール」といった不人気モデル、またはそもそもガンダムではない他アニメのプラモデルとの抱き合わせ販売も堂々と行われ、社会現象になった凄いプラモデルだ。
当時では、ロボットアニメのプラモデルなんて、主人公機とライバル機くらいしか製品化されないのが普通だったが、ガンダムに関しては、劇中に登場するモビルスーツやモビルアーマー(登場するロボットのこと)は元より、戦艦や輸送艦、また戦車や一話限りの敵(ザクレロとかゾック)までプラモデル化され、マニア心をくすぐる充実したラインナップを誇る。
量産型ズゴックとジムは雲泥の差
これまた詳しく覚えてはいないのだが、長男である私と、3つ下の弟に、毎日夕方からパートに出ていた母が親心にほだされたのか、ガンプラを買ってくれたことがあった。
しかし、それは直ぐに組み立てることは出来なかった。なぜかと言うと、不思議とそういった普段と違う親の動きに敏感な弟が、今でいうところのクローゼット(当時は洋服ダンス)に隠してあったガンプラを発見し、それを兄である私に教えてくれたのが発端だったからだ。
興奮気味の弟に案内され、普段は触りもしない洋服ダンスの扉を開けると、そこには、発売日の朝から店頭に並ばないと買うことが出来ないガンプラが2つ隠して置いてあった。「量産型ズゴック」と「ジム」だった。当時の価格はどちらも300円。
「機動戦士ガンダム」が分からない人はこの記事を読んでいないと思うが、一応解説する。「量産型ズゴック」は、主人公の敵側として登場する雑魚ロボット、「ジム」の方は、主人公が操縦する「ガンダム」の廉価版として味方が多数使用するロボットだ。劇中の活躍具合はどちらも大したことはないが、ロボットとしてのカッコよさは、「量産型ズゴック」の方にはるかに歩がある。
ちなみに、この記事の画像で言うと、赤い色でツメのある方がズゴックで、やっつけられている方がジムだ。この赤いズゴックは、敵側のヒーローであるシャアが操る「シャア専用ズゴック」で、グレー調で地味に塗装された量産型ズゴックとは桁違いに大活躍する。このシャア専用〇〇のプラモデルは、特に入手困難だった。
…もう分かると思うが、私と弟は、ズゴックの取り合いで直ぐに言い争いが始まり、そしてケンカになった。しかし、現在は親の目を盗んでガンプラを発見した段階であり、まだプレゼントされた訳ではない。そのことに気が付いた私と弟は少し冷静になり、ズゴックとジムがそれぞれどちらの手に渡るかは親に一任するということで、一応の平和条約を結んだ。
…しかし、私には嫌な予感があった。私は当時10歳の長男で弟は7歳である。ズゴックとジムの違いなど理解できるはずもない親が、「弟に先に選ばせてあげなさい!」という命令を下すのではないか?そう思うと夜も眠れなかったが、後日、その懸念は現実のものとなった。
やっぱりこうなってしまった…と思いながら私は、弟が気を利かせることを期待したが、弟はまだ7歳。当然のようにズゴックを選択し、私にはガンダムの量産型であるジムがあてがわれた。
その時の悔しさというか、やるせなさと言ったら…!!!
今でこそ、カッコいいジム(ジムスナイパーカスタムとか、そういうやつ)のプラモデルも沢山あるが、当時のジムは、どう見てもダサく、組み立てる意欲が全く起こらない、いわゆる「ハズレ」のガンプラだった。
後に親に聞いたところによると、ガンプラを買う時は、もう選ぶどころの騒ぎじゃなかったとのことで、人気の「シャアザク」とか「グフ」などは直ぐに売れ、とにかく正真正銘のガンプラを2つ買ってくるのが限界だったようだ。
今でこそ、その親心には感謝感激なのだが、10歳の自分には、「いやいや、それでも”ジム”はないだろう」と、ずっと不満を持っていた。せめて「巡洋艦ムサイ」とか「ガンキャノン」だったら、ここまで文句も出なかったのだが…。
当時の「ジム」の人気の無さは、マジでずば抜けていた。これは本当のハナシである!
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