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MARCYって誰?

1987年にMARCYがアン・ルイスに提供してヒットした同名曲のセルフカバー。

MARCYこと西田昌史は、ヘヴィメタルバンド「EARTHSHAKER」のボーカルで、解散後はソロ活動や音楽プロデューサーとして活躍。

ヘヴィメタというと攻撃的なサウンドでガンガン攻め込まれるような楽曲を思い浮かべるが、MARCYの場合は、とてもメロディアスで哀愁漂うものが多く、先入観とは違う印象を持つ方が多いと思う。

この「天使よ故郷を見よ」は、まさにそんな一曲で、楽曲提供を受けたアン・ルイスが歌うバージョンの方が圧倒的に有名だが、私は作曲者であるMARCY版の方と先に出会ったせいもあってか、こちらの方が断然好み。

「天使よ故郷を見よ」とは一体…???

この曲は、16歳当時に付き合っていた彼女から借りたカセットテープに入っていたもので、私は当時、MARCYもEARTHSHAKERも知らない状態だったが、曲の方は一発で気に入り、「天使よ故郷を見よ」というタイトルには、何となく引っかかるものを感じた。

「天使よ故郷を見よ」とは、一体どういう意味なんだろうか…?

何とも意味深な言葉だと私は思った。

パッと思いつくようなタイトルではないし、何かの引用かなあ?と16歳のアホな頭でボンヤリ考えたところで当時は終わっていたが、この記事を書くにあたり、30数年を経た今、検索してみた。

 

天使よ故郷を見よ(Look Homeward Angel)

アメリカの小説家、トマス・ウルフの自伝的小説の第一作。1929年刊。作者を思わせる青年ユージン・ガントがノースカロライナの山間の町で生まれ育ち、地元の州立大学を経てハーバード大学入学を決意して出発するまでを扱う。父母、兄、思春期の恋愛など多くのエピソードを、ほとばしるような情熱的文章で語る膨大な作品。

コトバンク「ブリタニカ国際大百科事典」より

 

むむ…、「ザ・オレの青春」という感じなんだろうか?

まあ、私は一生読むことはないだろうが、この紹介文を読むだけでなぜか恥ずかしい。では、歌の方はというと…。

 

「天使よ故郷を見よ」 作詞:川村真澄

花粉散らして 風が吹く

胸に釘刺し ヤツが来る

閉じたまつ毛を この愛で

開くあたしの 悪い癖

きっと忘れや しないさ

爪を伸ばして 指を切る

ヒラリ手を振る 強がりも

うまい嘘なら 泣けるでしょう

天使よ故郷を見よ

我慢の果てに夜が明ける

天使よ故郷を見よ

未来捨ててもかまわない

Don't let me be misunderstood

何ひとつ男には わからない

 

かなり微妙だが、歌詞を見る限りでは、何となく世界観を持ってきているような感じがする。この詩からは、「天使」とか「胸に釘刺し」といった言葉のせいか、日本の情景よりも外国(ていうかアメリカ)が連想される。

で、これまた何となくだが、悪い男にいいように扱われている若い金髪女性が、後悔しながらも自らの行く末を諦めているようなイメージが漂う。しかし、2番の歌詞になると、もっと肉欲的な表現となり、最後は「喜びは男には判らない」という詩で終わる。

詩をつけたのは、作詞家の川村真澄。

代表作には、渡辺美里「My Revolution」、宮沢りえ「ドリームラッシュ」の他、久保田利伸「流星のサドル」「You were mine」の他、小川範子や渡辺満里奈などアイドルへの提供作が多い。特に好きな作詞家さんではないが、何となく名前は知っていた。

多くの詩が書ける人は、それだけ多くの文学作品も吸収してきただろうし、川村真澄氏も膨大な数の作品を読んだのかもしれない。そうして蓄積した引き出しの中から「天使よ故郷を見よ」というワードが掘り出されてきたのではないだろうか。

それは定かじゃないが、この「天使よ故郷を見よ」という言葉は、何もないところから湧き出てくる種類のものではないと私は思う。

アン・ルイス版よりコッチ!隠れた存在だが名曲

私は、どちらかというとサウンドやリズムの方から曲を好きになることが多いが、本当に好きな曲は、歌詞が描き出す情景や世界観も合わせてツボにハマっていることが多い。

この曲は、メロディ、アレンジ、歌詞が上手く融合して良い化学変化を起こしており、MARCY版は世間的には目立たない存在だが、かなりの名曲だ。

アン・ルイス版の方が、ゴージャスなアレンジで歌謡ロック感に溢れているのに対し、MARCYの方は、もっと繊細で冷たい感じ、ノリは変わらずいいが一歩引いた感じになっている。

この「天使よ故郷を見よ」に関しては、MARCY版の方がアレンジも歌唱もより曲の魅力を引き出していると思う。是非聴き比べてほしい。

 

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