名作漫画紹介 5冊目 押切蓮介「ピコピコ少年」

名作漫画紹介

70~80年代生まれなら絶対に共感!

作者の本名である「神崎良太」が、幼少期から成人に至るまでのテレビゲームにまつわる人生体験や、数々の思い出、またゲームへの溢れ出るエネルギーを綴った自伝漫画。

単行本の帯にはこうある。

「あの頃、ゲームがなければ、死んでいたかもしれない。」

「この作品は、僕が学業を犠牲にして得た結晶です。 押切蓮介」

私は、巷の大多数を占めるであろうソコソコのゲーマーに過ぎず、ディープにハマり込んだ作者のレベルには遠く及ばないが、それでも大変に共感させて頂いた。

特に、70年代から80年代初めまでの生まれの方は、一層、身に迫るものがあるのではないだろうか。

テレビゲーム創成期から現代まで

小中学生の時にアーケードゲームのゼビウス(ナムコ)や、ファミリーコンピュータ(任天堂)に出会った世代は、本当に幸せな体験をしたと、私は思っている。

ファミコンブームからの約30年間で、テレビゲームは、それこそピコピコだった創成期から凄まじい速度で進化と深化を重ねていった。一旦、PS2あたりで円熟期に入ったかと思いきや、今はPS4やSwitch、またスマートフォンで更なる進化を遂げている。

その一大進化の歴史と、ドラゴンクエストやファイナルファンタジー、またストリートファイターとバーチャファイターといった幾多のムーブメントをリアルに体験出来たのは、幸運だったと言えるだろう。

私が所有したハードを数えても、ファミコン、メガドライブ、スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーション、プレステ2、XBOXと片手では間に合わないが、ソフト面では特にセガに多くの投資をしてきた。

セガには、ことのほか思い入れがあったので、ドリームキャストの失敗で完全にハード事業から撤退して、単なるソフトメーカーとなった現在の姿は不憫でならない。

70年代から80年代のゲームセンターとは…

このように、テレビゲームには一晩語れるだけものがあるにはあるが、私は、もっとノスタルジックな意味で、幸せな時代を生きたと思っている。

今でこそ、ゲームセンターはアミューズメントパークと名を変えて、立派に市民権を得ており、老若男女が安心して堂々と興じることが出来るが、1980年代当時のゲームセンターのうさん臭さと言ったら無かった。

照明はほぼなく、真昼間でも薄暗い一角にテーブル筐体が並び、余計な明かりを遮断するために、覗き穴のついた段ボール箱で覆っている台さえあった。時間帯によっては不良達がたむろしている上に、定期的に補導員が巡回していた。

今考えると、たかがテレビゲームになんでそこまで?と思うが、80年代半ばまでのゲームセンターとは、危険と鉢合わせのスリリングな場所だったのである。

一方、駄菓子屋やスーパーの一角にもゲームが置かれていた時代で、そこには身の危険は無いが、その代わりにボタンが壊れていたり、レバーの調子が悪かったりで、満足いくプレイは難しい環境だった。

現代からすれば笑い話にもならないが、当時のゲーム小僧にとって、ゲームセンターという場所は、危険を冒してでもチャレンジするだけの価値のある、魅惑的なエリアであった。

大人になると、パチンコや競馬場などの賭場、またスナックやクラブなどの夜の店など、いずれも初めて行く時には緊張するものだが、それを小学生や中学生のガキンチョに一足早く感じさせてくれた場所が、当時のゲームセンターだったのである。

しかし、今のゲームセンターは、いや、アミューズメントエリアには、そうした怪しさは一切無い。煌々と照明が照らされ、何かあっても、きちんと教育された店員が直ぐに対応してくれる。トッポイ連中もいないし、補導員の姿に怯える必要も全くない。

ゲームの楽しさは変わらずあるような気がするが、大人の世界を垣間見るような、そうしたプラスアルファの魅力は無くなってしまっている。

今の小中学生にとって、果たしてどっちがいいのだろうか?しかし、もし今、私の中学1年生の息子がゲームセンターで補導されたとしても、私は何もとがめず、きっと上手い逃げ方を教えているだろう。

だって、ただ身銭を切ってテレビゲームをしているだけなのである。そんな少年に対し、いったい何を怒り、何を叱るというのだろう?

「ピコピコ少年」という漫画の本当の魅力

あやふやにしておけばいいものをガラス張りにし、放っておけばいいものを規制し、何となく窮屈な、遊びや余白のない世の中になりつつある現代。

そんな中を生きなければならない若者は大変である。私は、そんな意味で、自分は幸せな時代を生きたと思うのだ。

この漫画には、そうしたノスタルジーがこれでもかというくらいに詰まっている。きっと、当時のゲーム小僧の琴線をくすぐるに違いない。

 

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