長時間労働について
昨今では、何かと長時間労働についてクローズアップされるようになりました。巷では、長時間労働は諸悪の根源であり、働き方改革だ、ワークライフバランスだと、様々な議論や取り組みがなされています。
ここでは、うつ病と長時間労働の関連について、私自身のことを例にあげて説明します。まず先に、この話題を説明するにあたっての基礎知識を以下にまとめます。
36協定届とは?
時間外労働に関する労使協定で、労働基準法36条に基づくことから、通常「さぶろくきょうてい」と呼ばれます。
会社は、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働を従業員に命ずる場合、この労使協定を結び、所定の書式を労働基準監督署に届けていないと労基法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
4月~翌3月を事業年度とする会社の場合は、3月中に労使協定を結び、3月末までに所轄の労働基準監督署に36協定届を提出することで、翌事業年度分の届出とするのが普通です。
36協定の特別条項とは?
36協定の届出によって時間外労働を命ずることが出来るといっても、厚生労働省令で、1ヵ月45時間、年間360時間、などと限度時間が定められており、当然ながら、限度時間をオーバーすると違反となります。
しかしながら、例えば経理部員であれば、決算月に業務が集中しますし、製造部員であれば、予期せぬクレーム対応などで時間外労働が増えることがあります。
そうした事態に対応するための制度が「特別条項付きの36協定」で、これを結べば、合法的に厚生労働省令の限度時間を超えて、従業員に時間外労働をしてもらうことが可能になります。
これには設定上限の定めがなく、その気になれば月120時間でも月150時間でも設定することが可能になっておりますが、昨今では、月80時間を超える設定は労働基準監督署から厳しい指導が入るため、現実的な上限ガイドラインは月80時間となっております。
うつ病と長時間労働の関係性
さて、ここからが本題になります。
私は管理職(=管理監督者)なので、36協定における所定時間外労働の縛りからは外れますが、うつ病を発生するまでの1か月平均の残業時間は、およそ100時間くらいでした。
100時間-80時間=20時間ということで、今の世間のガイドラインとの比較では20時間ほどオーバーしていたことになります。
悲しいことに長時間労働を苦にしての自殺者などは、直近の残業時間が月180時間とか、2ヶ月間休みなしとか、人間性を無視したような過酷な条件下であることが多く、残業時間が一定のレベルを超えて長ければ長いほど労働者の心身を蝕むであろうことは想像に難くありません。
私のうつ病は長時間労働が原因ではない
では、うつ病との関連性はどうでしょうか。私は月平均100時間の残業が1年くらい続いていた中で、うつ病を発症しましたが、私は長時間労働がうつ病の原因だとは思っていません。
うつ病に繋がるほどの長時間労働とは、月150時間とか月200時間というレベルが数か月以上続いたケースが殆どだと思うので、私レベルの時間外労働は、そもそもうつ病を発症するほどの時間外労働ではないという捉え方もあります。
しかし、これは個人の感覚になりますが、私は長時間労働自体はさほど負荷には感じないタイプです。あくまで自己分析にはなりますが、私がメンタルを崩したのは、役員Aのパワハラ言動と、定年が近い上司2名と若すぎる課員という状況下での閉塞感が大きく、更に課員の退職などが追い打ちをかけたものと思っています。
私が思うところでは、長時間労働への耐性と、パワハラへの耐性は全く別種であり、度を越えた長時間労働がうつ病発症に直結しやすいのはその通りだと思いますが、極端な話、時間外労働が月30時間でも、パワハラに日々さらされるような環境であれば、うつ病は発症すると思います。
ただし、実際には、
パワハラによるメンタル不調 → 集中力低下 → 業務効率の低下 → 時間内にこなせない業務が増加 → 時間外労働の増加 → さらにメンタル不調・能力低下
という悪いサイクルに入るので、必然的に時間外労働は増加すると思いますが、うつ病=長時間労働というように、単純に直結するものではないというのが、実際にうつ病に罹患した私の考えです。