群雄割拠時代に埋没してしまったバンド「GRASS VALLEY」
私と同世代の邦楽ロック好きか、またはファンであったか、それとも90年代サウンドを詳しくチェックしているマニアじゃない限り「GRASS VALLEY」というバンド名に触れる機会はそうないと思う。
彼らは1980年代後半から1990年初頭にかけて活動したロックバン
当時のロックバンド好きなら、サラッとでも聴いたことがあるくらいに有名な曲は「STYLE」とか「IDENTITY CRISIS」とか結構あるが、とある曲がドーンと売れて有名になったバンドではないので、皆が一致するような代表曲は無いと思う。
むしろ解散後にボーカル出口雅之が「REV」としてソロ活動した際の「甘い
個人的な大発掘時代
当時、私は学生から社会人なりたての時期で音楽への感度が高く、
折しも玉石混交で、私は嫌いだが「J-pop」というワードも生まれ、様々なロックバンドが乱立した時代。
石の方はともかくとして玉の方は、ユ
私は以前から追っかけていた安全地帯を引きずりつつ、新し
GRASS VALLEYに至っては、後に彼らの最高傑作と評されるアルバム「ロゴス~行~」を借りて聴いたも
「星のジョーカー」
自分との相性は今一つだったGRASS VALLEYだけど、その「ロゴス~行~」というアルバムには、末永く自分の記憶に刻まれた「これは!」という曲がひとつ入っていた。
2曲目の「星のジョーカー」だ。
イントロのシンセから軽快なテンポでノリが良く、ライブでの1曲目とかラストには置かないが、盛り上がったムードを維持するのにピッタリな感じの曲。
…が、ノリノリのメロディに反して、作詞は近未来の先行きを憂うような内容になっている。
80年代後半から90年代初頭といえば、パソコンは殆どデスクトップしかなく安くても25~30万円、高性能機になると40~50万円もしたが既に職場や家庭に入り込みつつあった。そしてまだまだ世間はポケベルだったものの、携帯電話「MOVA」が発売され「NTTドコモ」が誕生した頃。
世紀末が近いことにも実感が湧いてきて、デジタル万能時代への期待は高まりつつも、一抹の不安はバブルが帳消しにしてくれるような時代だった。
「星のジョーカー」 作詞:出口雅之 作曲:本田恭之
~2番のサビからラスト~
爆発しそうな星を彷徨う
とどまる事が罪の様に
GO!GO!走り続けた文明
その先には何があるのさ
Boys!Girls!今ならまだ間に合うさ
あれから30年も経った今、こうしてなぞると、特にどうという歌詞ではないかもしれない。
しかし当時高校生だった私には、この曲のためだけにCDを購入したくなるほど「星のジョーカー」が喚起させた近未来シーンには心掴まれ、またその後も記憶に焼き付いた。
最後の「Boys!Girls!今ならまだ間に合うさ」の後、アウトロのシンセがフェイドアウトしていくんだけど、これもまた余韻が増幅されて好みだった。
私はアルバム「ロゴス~行~」以外の曲には触れて来なかったが「GRASS VALLEY」は、もう一度、相性を試してみたいバンドのひとつだ。