思い出の曲 72曲目 ジョー山中「明日への叫び」

思い出の曲

時代を映した「あしたのジョー」

この「明日への叫び」は、1880年に公開されたアニメ映画「あしたのジョー2」の主題歌。

「あしたのジョー」は、日本犯罪史に残る3億円事件とか、沖縄返還とか、ビートルズ旋風とか、世界初のカップ麺が日本で誕生とか、そんな出来事があった1970年前後に少年マガジンで連載された伝説の漫画。

内面には弱者への優しさを持っているものの、気性が荒くて喧嘩っ早いチンピラの矢吹丈が、少年院時代に出会った宿命のライバルである力石徹に勝つためにボクシングにのめり込み、「明日のためにその一」から始まる、彼の才能を見出した丹下段平からの葉書を握りしめ、文字通り血と汗を振り絞り、肉を切らせて骨を断つ!の捨て身の戦法で戦い、その後も孤高の餓えた狼みたいに生き、最後は死んでしまう可哀そうな物語…だと一般的には思われている。

それは結構合っているし、原作もアニメも、ザッとなぞるとそんなストーリーだ。そのせいか、「あしたのジョー」の主題歌というとアニメ1作目の主題歌だった尾藤イサオの方ばかりが取り上げられるし、そのお陰で少年院時代から力石戦までの矢吹丈が一般のイメージになっている。

それが私としては凄く不満!

アニメ化された「あしたのジョー」は、1作目と2作目があり、それぞれ劇場版もある。どちらも「エースをねらえ!」を手掛けた名演出家である出崎統らしい仕上がりだが、「あしたのジョー2」は特に出崎統の色が濃い。

私が推すのは、1980年に放送された2作目の方。原作が完結して時間が経ってからの制作で、オリジナルの準レギュラーキャラも配置され、描写もエピソードも、漫画アニメというより邦画ドラマに近い。

丹下段平やマンモス西、ヒロイン白木葉子といったレギュラーの他、ウルフ金串とかホセ・メンドーサとの絡みも、じっくりたっぷりと描かれ、「矢吹 丈」という、時代的にもう二度と誕生しないキャラをガッツリ掘り下げている。

その「あしたのジョー2」は、生涯のライバル力石の死を乗り越えて(と自分では思って)現役にカムバックした矢吹丈が快進撃するところから始まるが、クールなカメラ位置で物語は淡々と進む。

その証拠?に、アニメ版のオープニングには、ジョーなどの登場キャラが誰一人登場せず、ボクシングを当時のゲーム画面風に表現したシーンが延々と続くだけ。そして劇場版のオープニングに至っても、当てもない旅をしていたり飄々とした表情を見せる矢吹丈のシーンが大半で、とても洒落ている。

「あしたのジョー」という漫画が本当に面白くなるのは力石が死んでからで、しかもその面白さに更に深みを与えたのが、出崎統が独自の解釈を加えたアニメ版「あしたのジョー2」なのだ。出崎統のアニメ版は、原作以上に「矢吹丈」の生き様を描くことに力を入れており、特に大人の男性に響く何かを突き刺してくる作品だ。

ラッキーにも、この映画はテレビでよく再放送されていた!

アニメ版はあまり記憶がないが、劇場版の「あしたのジョー2」は、私が中学校とか高校生だった頃、1980年後半から1990年前半までの間、結構な頻度で再放送されていた。

なぜか高校時代のホームルーム?の時間、自習だったのか何だったか覚えていないが、視聴覚室でこの「あしたのジョー2」のテレビ放送を録画したものを皆で見る機会があった。このブログの「オヤジギター」で登場するギター師匠も、同じクラスだったのでひょっとしたら覚えているかもしれない。

視聴時間は当然ながら1時間なので、上手く端折っても、既にパンチドランカーの矢吹丈が最後の相手である無敵のチャンピオン”ホセ・メンドーサ”と闘っている最中で時間切れ。

もうホームルームの時間が終わって休み時間に入っているのに、画面は、ジョーがホセのコーク・スクリューパンチに対して決死の反撃をしているシーン…、なかなか席を立てなかった級友達が多かったのが印象的だった。

そして私も、もうこの映画を何度も見ていて全部知っているにも関わらず、やっぱり最後まで見たい気持ちが勝るのだった…。

「明日への叫び」と「あしたのジョー2」

矢吹丈には、尾藤イサオの「叩け!叩け!叩け!~明日はどっちだ?」の方じゃなく、ジョー山中が歌う「ジョー2」の主題歌「明日への叫び」の方が合っていると思う。

劇中の矢吹丈は文句なしにカッコいいけど、やっぱり辛い物語だし、見終わった後は、満足感はあるけどやり切れない気持ちにもなるので好みが分かれる映画だ。でも、自分に「力」が入る映画でもある。「あしたのジョー2」の映画をよく知っていると、この「明日への叫び」を聴いているだけで、早朝でもテンションが上がってくるくらいだ。

…絶対に無理だし、絶対に嫌だが、やっぱり矢吹丈の生き様には憧れる。そして、ボクシングじゃなくても、何かに燃えて、燃え尽きてみたいとも思う。

「ロッキー」のように栄光と幸せを掴むためではなく、自分らしく生きるために…。

 

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