うつ病物語 その38「職場復帰後の面談」

社長との面談

社長との面談は15分くらいであったが、普段あまり会話をしない相手なのでとても新鮮だったし、会社の幹部である管理職がうつ病で休職という事例に対し、慎重に対している雰囲気が伝わってきて悪い気はしなかった。

しかし、私がうつ病になった直接の原因として「役員A」を挙げたことに際しては、「あいつは口が悪い。そういう人だと思って気にしないでくれ。」と、あっさり流されてしまったのには、色々と限界を感じてしまった。

「何かあったら俺に直接言ってくれ」という言葉も頂いたが、役員Aのことを直に社長に言うという展開は、相当の決意のもとで行動を起こさなければならず、あまり現実的ではない。ま、休職したからといって職場環境が100%改善される訳ではないのだ。私もその辺はあまり考えないことにした。

上司との面談

続いて、上司A、上司Bと続けて面談をした。上司Aからは、医者の言うことを否定するわけではないが、色々な医者がいるし、医者側の保身の意味合いが強い場合もある、早く職場復帰して身体を慣らしていくのがいいと考えた。

〇〇の居ない状態では業務は回らず、本社の助けも借りたが、現メンバーでは正直無理であり、〇〇の力が必要だということ、また、役員Aは相変わらずだが、皆、責任を背負ってやっている、受け流しながら頑張っていくしかないということを話された。

上司Bは、体が強張るなどの症状が出ずに出勤してきたことを喜んでくれ、無理をしないようにと声を掛けてくれた。

役員Aとの面談

上司との面談が終わり、席に戻って一息ついたところを見計らったように、役員Aから別室に呼ばれた。本丸との面談である。役員Aは、開口一番にこう切り出した。

役員A「キツイ言い方をして済まなかった。」

私「…いえ。」

役員A「〇〇には、色々なことを覚えさせようとして焦ってもいたが、病気が原因のこと(出来るはずのことに時間が掛かる、集中して話を聞けない)に腹を立て、更にキツイ言い方をしていた。〇〇の病気は、もう治ったと思って誤解していた。」

病気が治っていても治っていなくても、そういうパワハラ言動をしなければいいと思うのだが、そういう思考はこの人の中には無いのだろう。私はここでも限界を感じた。

私「長い間、辛かったです。自分がうつ病であることも中々受け入れられず、休職のことも含めて色々な葛藤がありました。自身を全否定されたような気持ちになり、役員Aさんからの叱責、強い口調が蓄積され、崩れてしまいました。」

役員A「〇〇は仕事を抱えすぎだと思っている。課員にどんどん落として、自分はチェックする側に回ってほしい。〇〇が居ない間、職場は大変だったようだし、皆も〇〇の存在感を再確認したはず。居てくれないと困る。家族も心配していたのでは?」

私「今回は本当に妻に助けられました。第三者として客観的に私の様子を見て、色々な判断を手助けしてくれました。」

役員A「〇〇のうつ発症を受けて勉強したが、几帳面、真面目、リーダー的、という、うつ病になりやすいタイプに〇〇は合致していた。本社でも相当数の罹患者がいるらしい。ああ、〇〇の友達の人事の〇〇課長に電話して相談したんだ。」

本社人事部の友人から電話を貰った時に、そういえば役員Aから相談を受けたと言っていたことを思い出した。この友人は、私のうつ病の原因は貴方にありますよ、と役員Aに告げてくれ、側面から支援してくれた味方でもあった。

役員A「〇〇のうつ病は、珍しい病気ではなく現代病。何も気にする必要はないし、今回のことで色々と考え方も変わった。〇〇に対して、もうあのような言い方はしないので安心してほしい。これからも宜しく頼む。」

部分部分で噛み合わない点はあるものの、復職初日の面談として、私としては十分納得のいくものだった。この日は、午後から出社したが、ずっと面談続きで仕事らしい仕事はせず、早めに会社を後にした。

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