うつ病物語 その81「早く元の自分に戻りたい」

うつ病物語

早く元のお父さんに戻ってほしい

一見すると、健康そうに見える夫・父親、しかし、実際のところは病人。うつ病は、最悪命を絶つことになるほどの危険な病気であるが、病気であることを感じ取れるのは、その人と密接に関わっている人、毎日一緒にいる家族だけと言っていい。

この日は、長男の勉強のことで、ちょっとした口論になった。一応、両親が揃っている状況にもかかわらず、私の病気のせいで、妻に全ての負荷が掛かっていた。妻として母として、そして一家の長の代行として、妻のメンタルも綱渡りであった。人間は、張り詰めた状態をずーっとは維持してはいられない。

「早く元のお父さんに戻ってほしい!」

口論の最後、妻は私にこう言って、静かに寝室に入っていった。

うつ病の相手には言ってはいけない台詞だろう。妻もそれは分かっている。しかし、介護側の妻だって、たまには弱っている姿を晒したっていいよな、と思った。私としても、こんなことを言われて焦ったところで、心身はそう簡単には戻らないが、向こうだって必死なんだ。

これからの人生を考える…

なんでこんな事態になってしまったんだろう。私からすれば加害者である職場と上役の姿がちらつく。会社っていったい何なんだ。組織って何なんだ。お金を稼ぐためにはこれも仕方がないのだろうか?でもこんな病気になってしまって、家族がガタガタになったら、なんのための仕事なのか分からないじゃないか。

そう、一番大事なのは家族なのだ。会社勤めは、私の場合はその手段に過ぎない。しかしそうは言っても、仕事で自己実現を図りたいという欲求はある。同期入社の戦友のような親友や、同年代の仲間と一緒に、40年以上になるであろう会社人生で、何かしらの足跡を残せればとも思う。

仕事も含めた実りのある毎日と、幸せな家庭を作って維持すること、このバランスをこれからの人生で突き詰めていきたい…。こんなことを真剣に考える時間を貰ったことが、この病気になってからの数少ないメリットであった。

 

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