数々の記録を打ち立てたビッグバンド
1998年リリース、GLAY4枚目のオリジナルアルバム「pure soul」の2曲目。
不思議とスマートさの漂う4名で編成されたGLAYは、正統派ビジュアル系ロックバンドとして1994年に、XのYOSHIKIが設立したインディーズレーベルであるエクスタシーレコードからアルバム「灰とダイヤモンド」でデビュー。
1996年リリースで8枚目のシングルである「グロリアス」が初のオリコントップ10入りを果たすと、その後は怒涛の勢いで「口唇」「HOWEVER」「誘惑」「SOUL LOVE」とミリオンセラーのシングルを連発。
更に「HOWEVER」直後に発売されたベストアルバム「REVIEW-BEST OF GLAY」は、当時の日本記録である488万枚の売上を記録。他にもオリジナルアルバム4作品がダブルミリオンと売れに売れまくり、2018年現在のCD総売上枚数は3800万枚以上を記録している。
また、世界記録となる20万人を動員したライブの他、「GLAYEXPO」と題したライブでは、日本各地で5~10万人規模のライブを行っており、とにかく記録づくめのビッグバンドだ。
北海道出身のアーティストは大物揃い
GLAYは、観光地として名高い、北海道の函館が出身のバンドだが、私の地元、北海道には、不思議と大物アーティストが多い(ちなみに漫画家も多い)。
先ず大御所として、「北島三郎」「中島みゆき」「松山千春」「細川たかし」、ベテラン勢として「安全地帯」「大黒摩季」「DREAMS COME TRUE」、そして若手では、「サカナクション」などがある。
遥かなる北の大地は、芸術方面に何かしらのインスピレーションを与えるのか、それとも都会と違ってやることが無いので自然とそうなるのかは定かではないが、圧倒的に人口の分母が違う首都圏を別とすると、こんなに大物揃いの都道府県はそうない。
GLAYのイメージは…?
さて、その北海道函館出身のビッグバンド「GLAY」であるが、明らかにBOOWYの影響を受けたバンドだと思う。
ブームには出遅れたものの、遅ればせながらBOOWYの凄さに感銘を受けていた私は、初めてGLAYを聴いた時、「お?これはBOOWYの流れを汲んだ奴らだな?」と勝手に思い、長らく空白だったBOOWYの後釜に座るバンドだと踏んでいた。
事実、先に挙げたアルバム「灰とダイヤモンド」や、それらのリメイク曲を含めたベストアルバム「REVIEW-BEST OF GLAY」の楽曲には、BOOWYを彷彿とさせる何かがあり、私の期待感は高まっていた。
しかし、GLAYは、私の期待とは裏腹に、バラードやスカッとしたポップス路線を主軸として大ブレイクを果たし、初期に漂わせていたBOOWYの臭いは急激に失せていった。
それは、GLAYとしてのアイデンティティを確立したということなので、本人達もファンも歓迎すべきことなのだが、私の大きな期待は空振りに終わってしまった。当時の私は、ひっそりと落胆した気分を味わったものである。
私は、簡単に言えば早いテンポが好みであり、しかもメロディや歌詞に緊張感や退廃感、または物憂げだったり悲しげな雰囲気を喚起させる曲に惚れる傾向がある。そんな私はGLAYに大きな期待を寄せたが、彼らはよりエンタメ志向であり、爽やかなロックが持ち味のバンドだった。
それはそれで、いいのだろうとは思う。GLAYは、平成の30年においても第一線のアーティストであるが、こんなに末永く活躍するバンドだとは多くの人が思わなかったのではないだろうか。
ビリビリクラッシュメン!
しかし、彼らにも、飛び道具ともいうべき楽曲はあり、この「ビリビリクラッシュメン」などはその筆頭だろうと思う。この曲は、ポップスながらも、彼らの内包する狂気を感じさせる一曲である。
この曲は決してBOOWY的という訳ではないが、GLAYというバンドの裏の顔をチラッと見せてくれるような魅力がある。凝ったアレンジや転調も聴きどころであり、GLAYのアンチファンにこそ勧めたい1曲である。
なお、この曲が気に入った方なら、アルバム「BELOVED」の2曲目「Lovers change fighters cool」もお勧め!
もしもGLAYが、もっと攻撃的で狂気な部分を前面に出すバンドだったら…。もしそうだったなら、GLAYのファン層は大分と変わっていただろうが、私はきっとファンになっていたと思う。
私に取ってGLAYは、そんな可能性を感じさせてくれたバンドだった。