男女みんなが支持したドリカム
1992年リリース、ドリカム11枚目のシングル。
誰もが知るドリカムの代表曲のひとつ。本人達も出演した音楽バラエティ番組「うれしたのし大好き」のオープニングテーマであり、バンドとして初のミリオンセラーにもなった超有名な曲でもある。
世間にはドリカムファンが溢れ、特に女性人気は圧倒的だったが、男性にも結構受け入れられていた。
私はドリカムのファンでは無かったが、日本人離れしたリズムやメロディラインを持つ新鮮な曲を次々繰り出すバンドとして気になる存在であった。
この「決戦は金曜日」を聴いた時も、こんな凄い曲を作るなんてやっぱり才気溢れる突き抜けた実力を持ったバンドなんだなと、こりゃ売れても仕方ないなと、もろ手を挙げて降参した。
しかし、この「決戦は金曜日」という曲には裏話があった。
超パクリ曲「決戦は金曜日」
それから25年後、私は車を運転しながら妻のセレクト曲を聴いていた。
聴いていたのは古そうなディスコミュージックのCDだったが、その中の「GOT TO BE REAL」という曲を聴いていて、あれ?と思った。
「あのさ、これってドリカムの「決戦は金曜日」に似てない?」
「そうでしょ。きっとあの人達(ドリカム)も大好きな曲なんだと思うよ」
妻はあっさりと返したが、この「決戦は金曜日」がドリカムの中での一推しだった私にはそれどころではなかった。
「え?いや、この曲って何年頃の曲?てか、似すぎなんだけど?」
「さあ?ただこのCDは70年代のディスコミュージック集だから、だいぶ古いよ」
聴けば一目瞭然なのだが、ちょっと似ているというレベルではなく、かなりのそっくりレベルである。おいおい。
「ええ?ひょっとしてあの有名な”決戦は金曜日”はこの曲のパクリ…???」
以上、私は大変驚き、そしてショックだった出来事だが、後日、調べてみると、このことは結構、有名なことのようだった。
リスペクトとオマージュ…、いやしかし「決戦は金曜日」
リスペクトにオマージュ。
音楽に限らず全ての創作活動は、真っ白なところで急に思いつくというよりも、先人の作品からエッセンスやヒントを受け取り、新しい角度から再構成したり、熟成させたりして、より良いものを、優れたものを、そして新しいものを作っていくものだと思う。
この「決戦は金曜日」は、あるラジオ番組で、シェリル・リンの「GOT TO BE REAL」をベースに曲を作るという企画から産まれたものであるとのこと。
そりゃそっくりなのも道理。
とはいえ、吉田美和の歌唱は「GOT TO BE REAL」に似ているが日本テイストであり、全体的なサウンドは原曲より洗練され、歌詞も当時の若者事情が思い浮かぶストーリー性があって、名曲だと思うしやっぱり好きな曲。
ドリカムとしてのオリジナリティも、原曲へのリスペクトも感じる。
「決戦は金曜日」はシングルで出すべきじゃない
しかし、である。
「決戦は金曜日」は、その成り立ちから考えて、アルバムの中の1曲とか、シングルのカップリングにすべきではなかったのか。
そういう経緯で産まれた作品なら、そのことをもっとハッキリ表明しないと一般リスナーは誤解する。シングルでリリースし、しかも本人が出演するテレビ番組のオープニングで使うのは、無節操ではないかと私は思ってしまう。
結果としてドリカム初のミリオンセラー。
どれほどのお金が動いたかわからないが、これはボロ儲けと言わないのだろうか。
吉田美和という、日本屈指の歌唱力を持つボーカリストを擁するバンドとして、シングルは本当のオリジナルで勝負して欲しかった。
「決戦は金曜日」の成り立ちを後で知り、だまされたように感じるリスナーは少なくないと思う。