うつ病物語 その94「妻の不調が心配に」

うつ病物語

元の私に戻ってきた

ある日の夕方、夫婦の何気ない会話の最中、妻が急に感極まった表情で目尻を抑えた。

私「あれ?どうしたの?」

妻「いや、こんな風に普通に会話するのが久し振りで…、元に戻ってきたんだね。」

私「そうかい?…ああ、そうなんだろうね。そんな気がするよ。」

休職して家に居るのだから、話をする機会は沢山あり、事実、雑談から真面目な話まで随分と会話はしてきたが、それは夫婦のというより、患者と看護者のやり取りであった。

看護者として患者である夫の様子を観察する日々、一進一退する病状にいちいち反応していては気が待たない。もう長いことそんな毎日であった。それがここにきてようやく、対等な会話が出来るところまで到達したのである。

張りつめていた気持ちが少し緩み、涙腺を刺激するのは無理もなかった。

しかし気がかりなのは、私の回復とは裏腹に、妻の方が弱ってきていることだった。妻自身、うつの初期症状かもしれないと言っているが、確かにこのところ情緒不安定で、とても疲れやすいようだった。

医師に経過報告

今日からは、妻は家に残して1人で診察を受けることにした。早速、医師が「あれ?今日は1人ですか?」と声を掛けてくる。

私「ええ、そうなんです。大分と良くなりましたし、これからは1人になると思います。」

医師「そうですか、それで、職場復帰されての2週間はどうでしたか?」

私「はい先生、実はですね…。」

私は、会社の方が非常に慎重になっていて、職場復帰は7月からを予定していること、また復帰に当たっては前の職場ではなく、工場部門に異動することを説明した。

医師「なるほど、で、工場というのはどんな仕事をされるんですか?」

私「はい、食品工場なんですが、身体を動かすのが半分、計数管理が半分といった感じになると思います。」

医師「そうですか、それは丁度よいかもしれませんね。7月からという、ゆったりしたスケジュールもいいと思います。この病気はのんびり構えるに越したことはありませんから。」

私「はい、焦らずいきたいと思います。」

医師「薬の方は、このまま変えずにいきます。イフェクサーへの一本化は、職場復帰後の様子を見てからにしましょう。」

この医師とも、大分と波長が合うようになってきた。こんな風に思うのは、自身の調子が上向きだからなのかもしれない。

薬局で待たされている間、7月の復帰以降のことを考えてみるが、特に憂鬱な気分にはならない。明らかに少し前の状態とは違う。気持ちの中に、何とも表現のしにくい、どんよりした感じが無くなっているのを改めて感じた。

 

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