うつ病物語 その40「医師の指示に背くと」

うつ病物語

復帰後初の診察

今日は朝から気が重かった。診察の日なのだが、前回の診察で「うつ病を甘く見ている」と指摘され「しっかり休むこと」と自宅療養を指示されているにもかかわらず、その翌日から職場復帰しているからである。

しかも、数日前から通常出勤に切り替えていた。どう考えても「〇〇さんは先走り過ぎです」と叱られるのは間違いなかった。更に、転院のことも言わなくてはならない。

病院に着き、待合室で医師に話す内容を整理する。あ、まだ自宅療養をしていますと、嘘をつく方法もあるな、という考えが浮かんだが、更に深みにはまる気がしたので止めた。

名前を呼ばれ、恐る恐る診察室に入り、正直に顛末を説明する。医師は、予想していたように叱りつけるのではなく、むしろ呆れていた。

医師「〇〇さん、自宅療養を指示しているのに、そういうこと(職場復帰)をされるのであれば悪化しても責任は持てませんよ。」

私「はい、そうだと思います。ただ、職場の上司も色々考えてくれているし、早く治したいと…」

医師「そこまで言うのなら、自己責任でどうぞお好きになさって下さい。」

私「はい、すいません…。」

そして転院を申し出る

私「あ、それと先生、これまでお世話になっていて申し訳ないのですが、実は知人の勧めもあって転院をしたいのですが」

これまでの人生で色んな病院にお世話になってきたが、転院を申し出るのは初めての経験で、凄く緊張した。しかし、医師の側はあっさりしたもので、「そうですか」という返答に続いて、転院手続きの手順についてサクサクと説明を始める。きっと、よくあることなのだろう。私のように、言うことを聞かない患者と縁が切れて、かえってせいせいしているかも知れない。

転院には、今の医師からの紹介状があればOKで、転院先へ郵送してくれるとのことだった。これで、このクリニックにはあと2回通って終わりである。また、薬については有効に作用しているようなので現状維持、次回の診察は一か月後となった。

医師「では、くれぐれも大事になさって下さい。」

クリニックからの帰り道、色んなことを考えた。この病院とも、あと2回のお付き合いか。冷たい感じの医者だったが、間違ったことは言っていない先生だった…。

私だって、何の気苦労もないなら、何も考えずに休むのだ。病気になったとは言え、自分には管理職としての責任があり、いつまでも休んで有給を使い切る訳にもいかない。医者の言うことは治すことだけを考えた策であり、現実的じゃない、私はそんな風に考えていた。

この頃の「うつノート」

しかし、この日の「うつノート」には、こう書いている。

〇月〇日

このまま薬を飲みながら仕事を続けて治れば一番良いが、仕事に向き合う意欲、乗り越えていく力に自信が持てない。騙し騙し一進一退しながらの低空飛行で、何かの切っ掛けで悪化し、再発するようなことにならないか心配。見た目には全く普通の人に見えるだろうし、自分自身でも、元気なのでは?自分の気の持ちようなのでは?と思う時もある一方で、全てネガティブ思考に傾き沈み込む時もある。先ずは転院先の診察に向けて、少しずつ日々の充実感を高めていこうと思う。

職場は「うつ病」より仕事を優先し、私は焦りからかこの期に及んでも病気に対して甘い見立てをしていた。この頃から自覚していたのかもしれないが、こうした怠慢な姿勢は、後々、しっぺ返しに会うのだった。

 

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