うつ病物語 その104「家族以外の誰かのために仕事をする」

家族以外の誰かのために仕事をする

もし、C工場長が私を引き受けてもいいと手を挙げてくれなかったら、どうなっていただろうか。D工場長と私が非常に親しいのは会社も知っているはずだが、仲が良いのと会社組織とは別物であるし、D工場長の部署は、この春に一人昇格して管理職4人体制となったため、既に管理職である私が移籍するとはとても思えない。

そうなれば、復帰場所は元の総務ということになるが、閉塞感を打開するイメージを払拭できない私は、職場復帰への踏ん切りがつかず、休職は伸びていたかもしれないし、復帰したとしても、上司達が心配するように再発していたかもしれない。

上司A「E工場長だって、所長と色々あって退職寸前になってな、あの時は□□さんが手を挙げてくれたから辞めずに踏みとどまったけど、まあ色々あったよな。」

この一件は社内では結構有名な話であるが、E工場長の他にも、この所長の下についた者は2年と持たずに4名が会社を去り、Eともう1人は配置転換になった。この時の所長というのは、今の役員Aである。だから私の気持ちが良く分かるE工場長には、何度か愚痴ったりもしていた。

上司A「手を挙げてくれる人がいるというのは幸せなことなんだぞ。C工場長は今1人で大変苦労してる。早く仕事に慣れて、Cのためにも頑張って、早く助けてやれよ。」

その通りだった。C工場長は、昔はちょっと冷たい感じがあって接しにくかったが、今は特に苦手な相手ではない。何より、手を差し伸べてくれたことには感謝の気持ちしかないし、そのC工場長が苦労しているというのであれば、少しでも助けてあげたいというのが正直な気持ちだった。

ハードルは高いが…

私「はい、大変ありがたい話ですし、少しでも力になりたいです。」

上司A「うん、じゃ、上司Bから細かい説明を。」

上司B「…工場に入ったら一兵卒なんだし、何事も真摯な姿勢で臨んでいかないと、仲間と思ってくれないぞ。それに、周囲への気配りは人一倍やらないといけない。」

上司Bは、総務に来る前にはC工場で営業としてやっていたので、内情には詳しい。ここからしばらくは、具体的な事例を挙げて、私の心積もりを試すような話が続いた。

段々とリアルに、C工場に配属されている自分がイメージされてくる。大丈夫か?本当にやっていけるのか?工場や営業の最前線にいた者が、職歴を重ねて管理系の部署に異動になる話はよくあるが、私のようにその逆というのは非常に珍しいパターンである。

上司達の話を聞きながら、自分に問いかける。幸いなことに、自信というのとは少し違うが、大丈夫、やっていけるさ、と思える状態にある。何より嬉しかった。

 

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