うつ病物語 その103「無駄な経験なんてない」

うつ病物語

2人の工場長が手を挙げてくれた

役員達、特に役員Aが私のことを不満分子と見るのなら、それはそれで構わないが、私には、今回のことを恨みに思い、例えば反乱を起こしたり、機密情報を流出させたりするような気は全くない。

もし会社の対応が、私の復帰場所を用意せず、自然解雇を狙っていくようなものであったなら、その時は、役員Aを相手取って労災の訴えを起こすくらいのことはしたと思うが、今回の会社の対応は、私にとっては厚情が感じられるものだった。

上司A「元の総務に戻るのは、やっぱり再発するとしか思えなくてな、今回はC工場長が手を挙げてくれたのが大きかった。あと、お前と同期のD工場長も心配していて、自分のところにと手を挙げてくれていたが、D工場長の性格じゃな…、それに、同期2人では上手くいかないよ。」

D工場長とは同期入社で、今でも定期的に2人で飲みに行くほどの親友と言うべき間柄ではあるが、上手く行きそうもないという上司Aの考えには否定できないものがあった。

私「確かに、D工場長とは本当に仲がいいですが、仕事となると別物かもしれません。…それよりC工場長が?」

上司A「そうだぞ、お前については、昔の組合時代のことを言ってた。」

無駄な経験なんてない

C工場長が手を挙げてくれたというのは私にとって意外であり、嬉しい話でもある。かつて、労働組合の役員をやっていた頃、C工場長が支部長、私が書記長として三役を担った時代があった。事務系に慣れていた私は、当時、C支部長からの無茶振りに対しても、あまり嫌な顔をせずに引き受けていたことが、C工場長としては、私に対しての良いイメージに繋がっていたようだった。

上司A「こうして病気になってしまったのは、仕事が上手く行かなかったことも大きい。それはお前の落ち度もあったと思う。それは分かるか?」

私「はい、そう思います。」

上司A「でもな、こうして引き上げたりしてくれる人が居るってことは、お前の全てが無駄だった訳じゃないんだ。本社人事部のA課長他、お前の労働組合時代を知っている人は、皆、お前のことは頑張っていたと買っていたぞ。」

あの頃は、通常業務の傍ら、支部の代表者として会社との折衝・交渉に明け暮れた。良い案件は皆無と言って良く、嫌な思い出ばかりだったが、唯一の収穫と言えば、同じ時代を共有した仲間意識として社内と本社に人脈が出来たことだった。

当時は、組合業務が嫌で嫌で仕方なく、早く引退することばかり考えていた。こんなものが何の役に立つのかと、心底思いながらやっていた。しかしそれが、今になってじわじわ効いてきている。

先輩達が口を揃えて言っていた言葉。

「何でも経験しておけ、きっと役に立つ」

へいへいと聞き流していたが、確かにその通りだった。人生に無駄な経験なんてないのだ。

 

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