うつ病物語 その118「お人好しなのか達観なのか」

うつ病物語

ちょっとしたイベント

工場内で天井の掃除をしていると、C工場長が近づいてきた。何か別の指示かな?と思い、脚立を降りる。

C工場長「今週の土曜日に、外国人実習生のレクリエーションでいつものバーベキューをやるんだけど、どうする?」

私の勤務先の会社では、外国人実習生を受け入れ始めて10年になるが、今ではすっかり大所帯となり、80人近くが在籍している。彼女達は3年の滞在期間の中で、稼ぎを家族に仕送りしながら、日本の技術と日本語を覚えて帰っていく。

毎年この時期には、新しくやってきた実習生への歓迎の意味を込めた懇親バーベキューを実施していた。今までは、幹事補佐としての関わりだったが、今回は、職場で迎える側としての参加である。

私「う~ん…、そうですね…、参加でお願いします。」

C工場長「お、そうか?…いや、いいんだけど、あの人も来るけど大丈夫か?」

”あの人”とは、役員Aのことである。

私「…ん?…や、いえ、それはまあ、また別ということで…。」

C工場長「そうか、それならいいけど。」

私「ええ、大丈夫です。」

C工場長は、少し笑いながら別の人に確認しに行った。確かに、アルコールの入る席で、”あの人”と同席するのは嫌な展開もありうるが、かといって、立場は違えど毎年参加していたのに、今回はパスというのも、何だか格好の悪い気がした。

そして当日

今年は北海道でも長雨が続いたが、この日は久し振りに程よく晴れた。私は、集合時間より30分ほど早めに現地に到着したが、既に数人が来ていて、C工場長はバーベキューコンロの準備をしていた。

私「おはようございます。早いですね。」

C工場長「おう、実習生達のバスも、早めに来ると思うぞ。」

そんな会話を交わしているうちに程なくしてバスが着き、会場は途端に賑やかになる。役員Aの挨拶もそこそこに、懇親バーベキューが始まった。

私は、一番端のコンロの番人役となり、鍋奉行ならぬバーベキュー奉行として、炭や焼き肉の具合と付き合っていた。

すると、少し酒も入ってイイ気分になったのか、役員Aが私のところにやってきた。

役員A「おう、〇〇君、これは全快祝い…。」

私は反射的にグラスを差し出し、「いや、ありがとうございます。」と言った。役員Aは、言葉少なに、私のグラスにビールを注いだ後、次のテーブルに移って行った。

…これって、どうなんだろうか?

私は、あの”役員A”に色々なことをされ、おかげでうつ病になり、最も大事な家庭に多大な心労や負担をかけ、5ヶ月も休職して、更に異動になった。あまり気にしてはいないが、会社人としてのキャリアには大きなバツ印がついたと言っていい。

しかし私は、あの人に対して、どうしても全面的に恨みが募る感じにはならない。それは私が、馬鹿のつくお人好しなのか、それとも、達観しているのかは分からない。

いずれ、答えが出るのだろうと思っている。

 

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