うつ病物語 その167「うつ病経験者とパワハラ役員が同席するハラスメント講習」

うつ病物語

講師は旧知の仲の友人

再会早々、冷やかしから入ってしまったが、なぜか私はきちんと挨拶をしたい気持ちになった。

私「あっ、あの、ワタシもお蔭様で元気になりました。色々と心配をお掛けしました。」

友人講師「あ、いやいや、…うん、そうだね、表情がね、やっぱり以前とは違ってるよ。」

私「はは、そうかな?…あ、うんまあ、そうだね。あの時はもう、ね。」

友人講師「友人Aからも色々聞いているしね、彼宛てのメールも抜粋したものを読ませてもらってるよ、何だか辛くなってくるのでずっと読んでいられないけど…。」

私「うん、よく知っている人達のことだし、色々とリアルに想像できるもんね。」

この友人講師は、友人Aと同様に、私のことを30歳代の頃から知っており、彼と過ごした懐かしくも大変だったり楽しかったりした思い出は沢山あった。私の職場のことや役員Aの他、周囲の人達のこともかなり分かっている彼にとって、私のうつ病発症の経緯をなぞる様な行為は、きっと色々と刺さるものがあったのだと思う。

「ハラスメント講習」の受講者は役員と管理職全員

間もなく受講者が集まり、皆、最前列を避けて席に着く。笑いながら私に最前列を勧める先輩には、「いえいえ、ほら、私が最前列だと、あんまりにもやる気十分過ぎて後に物議を醸し出すので。」と笑顔で返した。こんな余裕も、今になってからのものだ。

やはり役員が最前列に座り、その後ろに管理職。15~16名の管理職は、役員と積極的なコミュニケーションを取ろうとはしない。いつも同じだ。

こうしてメンバーが揃い、当社初のハラスメント講習の出席者は約20名となった。友人講師もスイッチを入れて、先程までとは違う表情に変わる。

もう既にグループ会社のあちこちで講師を務めてきた友人講師は、相変わらずの流ちょうさで、昨今のハラスメントの多種多様さについて触れた後、「セクハラ」と「パワハラ」について重点的に説明していった。

私は、後方から役員Aの表情を何度か確認したが、特に真摯に聞いている風でもなく、ごく普通の様子で、講習の合間に、友人講師に質問を入れたりしていた。

今、この狭い空間には、世間一般的な度合いは別としても、パワハラを加えた本人と、それによって「うつ病」になり休職を繰り返した私、また、それに深く関わっていたり、経緯を身近で見ていた人が同席して、「ハラスメント講習」なるものを受講していた。

友人講師が北海道まで出張してきて、グループ会社にこうした講習を行うことには確かな意味があると思うが、私は、何だか、やり切れないような、馬鹿馬鹿しいような、表現することが難しい気持ちで一杯になっていた。

講習では、どういった行動が「ハラスメント」にあたるかを具体的に説明していたが、やはり「言動には注意しましょう」というレベルであり、所詮は対処療法に過ぎないものだった。

これは私個人の考えだが、本当にハラスメントの無い組織、スピード感と粘り強さのある活力旺盛な集団を作ろうと思うなら、「上司」とか「部下」という言葉からして、もう相当古くて間違っていることに気付かなくてはならない。

「上」と「下」なんていう概念が組織に刷り込まれているうちは、いくらハラスメント講習をやったところで旧態依然から抜け出すことはできず、パワハラも無くならない。

 

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