うつ病物語 その89「職場復帰は新天地」

異動の打診

違う部署…?長らく職歴を重ねてきた総務部から外れる…。本気で言ってきているのかどうか不思議に思うほど驚いた。

私「どこの工場ですか?」

上司A「〇〇工場だ。今聞いたばっかりでアレだけど、正直どう思う?」

私は、今年度の人事調査票で異動希望を出していた。長らくうつ病を患い、体調が思わしくないこと、また飛躍するために工場部門の経験が欲しいことがその理由だったが、社内で経理や税務に精通した者は私だけであること、また中途になっている業務システム導入などの仕事を放り出して逃げるのかと叱責され、「異動希望なし」に修正して再提出した経緯があった。

異動先である〇〇工場は、私が異動するとしたら、恐らくここになるだろうなと密かに予想していた部署でもあった。異動してまっさらな気持ちで仕事が出来る…。私にとって、嬉しい提案であった。

私「…はい、驚きましたけど、工場部門への異動は希望していたことでもありますし、心機一転やってみようという気持ちが強いです。」

上司A「そうか…、いや、まだ決まった訳じゃないし、正直に言っていいんだぞ?元の総務でもいいんだぞ?」

元の職場に未練がない訳ではない。私の適性は管理部門にあると自分でも思うし、だからこそ30年近くも在籍し、管理職にまでなったのである。しかし、総務部にいては、自分の殻を破れないし、パワハラ・モラハラ役員との関係が続く限り、再発リスクが常につきまとう。私は決意した。

私「…いえ、正直にそう思っています。」

上司A「うん、分かった。」

水面下で動いてくれていた上司A

上司A「その返答を聞いたから言うが、昨日今日と、社長や役員Aとこの話をしてきているんだ。もちろん、〇〇の反応を見てからになるが、工場部門への異動を選択肢に加えて本人に提案するとね。」

私「そうだったんですか…。で、社長や役員Aは何と?」

上司A「社長は賛成してくれていたよ。身体も動かしながらリハビリも兼ねて勉強してくれと。あと役員Aも、同じことを考えていたみたいだった。ただ、本人の意向があれば総務でもいいとも言っていた。ああ見えて、心配はしているんだよ。」

私「それは分かります。」

上司「うん、で、〇〇工場だが、部長だった××が定年退職して再雇用になって、大幅に業務が変わり、△△工場長に業務が集中してパンクしているんだ。〇〇は、それを助けにいってあげてほしい。」

私が事前に予測していた通りだった。〇〇工場は工場収支が思わしくないにも関わらず、計数管理出来る者が不足しているのだ。これなら私が入り込んでも業務は被らず、むしろ強化されることになる。

私の中で仕事へのやる気が沸き起こってきた。こんなことは数年振りかもしれなかった。

 

うつ病物語 その88へ     うつ病物語 その90へ     うつ病物語 その1へ

 

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事