うつ病物語 その88「上司からの意外な提案」

うつ病物語

嫌な夢を見た朝

この日は、嫌な夢を見て夜中に目を覚ました。詳しい内容は目覚めた時にはもう忘れていたが、何をやってもダメだなと怒られるような夢で、気分は最悪だった。

なぜこんな夢を見たのかは直ぐに分かった。今日は夕方に上司Aと会い、私の回復具合や職場復帰などについて、話をすることになっていたからだ。

朝、妻にこのことを話すと、冷やかし半分に笑われてしまった。つられて私も苦笑する。

妻「まあ、そんなに構えて考えることもないよ。役員Aだって、以前より酷くなっているんじゃなくて、前と変わっていないだけだと思うよ。」

私「…ん、そうか、そうかもな。俺は悪い方に考え過ぎだな。」

妻「そうそう。」

この日は何となく落ち着かないままに過ぎ、家を出る時間になった。

私「じゃ、行ってくるわ。」

妻「うん、じゃあね。」

久し振りの上司A

待ち合わせ場所は、家から20分ほど車を走らせたところにある喫茶店。私は大分早くに着いてしまい、車の中で上司Aがやってくるまで待つ。久し振り、そう、4ヶ月振りに上司Aと会うのである。やはり落ち着かない。

そうこうしているうちに見慣れない車が隣に停車した。上司Aだった。

上司A「よう、知らない車だろ?社用車を入れ替えたんだよ。」

私「あ、それでプリウス。いや、知りませんでした。」

もう25年の付き合いである。4ヶ月会っていなかったと言っても、全く違和感はない。私は上司Aの後を付いて喫茶店の中に入った。

そして本題へ…

上司A「で、どうだ、回復具合は?」

私「ええ、自分の感覚では、90%台くらいにはなったと思っていますが。」

上司A「うん、自分でそう思うのなら、実際には80%くらいだろうな。」

何の根拠でそうなるのかは分からないが、それだけ慎重に捉えているということなのだろう。

上司A「…それでな、復帰させることが会社の責任なんだが、以前と同じ環境では、再発の可能性が非常に高いと思っている。何しろ、あの人は変わっていないし、事務所にいる以上、接触しないわけにはいかないだろう。」

私「ええ、そうですよね。」

上司A「先週、本社の人事部に行って相談してきたんだが、精神を病んだ人が復帰して上手いくケースというのは、前とは違う環境で復帰した時ばかりだそうだ。」

私「…そうでしょうね。私も、以前と同じところに戻ることを考えた時に、あ、今は90%と言いましたが、発症前の100%ではなくて110%とか120%にしなければならないとは思っています。」

コーヒーが二つ運ばれてきた。上司Aはコーヒーには口を付けず、話を続ける。

上司A「…で、色々考えたんだが、総務部じゃなくて、工場部門で復帰してはどうかと思っているんだが、どうだ?」

こちらの想定外の提案に、私は驚きを隠せなかった。

 

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