うつ病物語 その166 「次々に報道されるパワハラ自殺と、会社組織の勘違い」

痛ましいパワハラ自殺

パワハラを原因とした自殺者の報道が後を絶たない。

最近では、トヨタ自動車に勤務していた28歳の技術系男性社員が、上司から日常的に「バカ、アホ」「こんな説明ができないなら死んだほうがいい」などの暴言を受けて精神疾患を発症、3ヶ月間休職して別のグループに配置転換されて職場復帰したものの、同じフロアの斜め向かいに、この上司の席があった。

復職後も廊下でぶつかられるなど同じ上司から嫌がらせを受け、男性は、「もう精神あかんわ」「死んで楽になりたい」などと周囲に漏らすようになり、社員寮の自室で自殺。

トヨタ側は当初、遺族に対し、「自殺は上司の言動によるものとまでは認められず、会社として責任を負うものではない」と説明。しかし、遺族の労災申請を受けた豊田労基署は、男性が休職前にパワハラによる適応障害を発症し、職場復帰後も治癒していなかったとして労災認定する報道があった。

「上司」という言葉は、もう現代にはそぐわない

wikipediaによると、上司とは「組織において自分より役職が上位となる人物のこと。上役、上長という場合もある。対義語は部下。」とある。

これは私がうつ病になったりするずっと前からだが、「管理職」が上で”偉い人”、「一般職」が下、という、およそ長い間、組織において当たり前とされているものと、自分の考え方が合わないことを感じるようになっていた。

今は特にその思いが強い。部長とか工場長は、そういう責任が重い役割であるというだけで、別に上でもないし偉いわけでもない。そして、部下、スタッフだからといって下というものでもない。そういう役割とそれに見合った責任があるだけ、ただの役割分担だ。

それなのに、出世して役職が付いたり役員になったりすると、まるで人格や身分の階層が違うところに引き上げられたみたいに勘違いして、上から目線になって威張ってしまう人がいる。そしてそれは私(団塊JR世代)より上の年代に多い。

一昔前までは、誰もが(私自身も)「まあ仕方ないよな…」と、疑問すら抱かなかった世間の常識だが、よくよく考えるとおかしな思い込みだったのだ。

こういうことが、現代のパワハラの背景になっているのは間違いない。

ハラスメント講習

この度、パワハラに関する法規制が改められたこともあり、本社の人事部が全国に点在するグループ各社を回ってハラスメント講習を行っており、私の勤める会社にも順番が回ってきた。

講師としてやってきたのは、本社人事部の友人Aと同じくらい親しく「友達」と言っていい間柄の同い年の課長。

かつて労働組合の役員を仕事と兼務でやっていた15年ほど前には、専従役員だった彼と友人Aに対して正直に意見を言わせてもらったが、そんな私のハナシを、2人は随分と尊重してくれたのだった。

私は、少し早めに会場に着き、のぞき込むと懐かしい顔があった。2~3年振りに会った彼は、白髪が増えたせいか、より「講師」っぽくなっていて、私は「おお!何だかインテリジェンスが増したんじゃないの?」とからかってしまった。

 

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