うつ病物語 その165「うつ病から復活しつつある私に対し、かつての上司から残念な一言」

前職場の異常さを再確認する日々

休職明けから異動した新職場にも1年4ヶ月が過ぎ、もう随分と長いこと前からいるような、”馴染んだ”を通り越した感覚を覚えるようになっていた。

C工場長をはじめ、そのことは周囲にも自然に伝わるもので、その分、求められる役割や結果も役職に応じた重たいものになってきた。これからはより多くの実務も責任も圧し掛かってくるだろう。

しかし、そのあたりを含んでも、以前の総務課の課長だった時に比べれば、十分にこなせるボリューム&レベルのように、今の私には感じられた。

工場部門は様々なことが収支に直結するため、前職場とは違う種類の緊張感とかプレッシャーはあるが、それらは主力を担っている最前線のチーム、また工場長達との共有課題だった。勿論、C工場長がその重要部分を担ってはいるが、端から端までの全てを独りで抱え込んでいる状態では無い。

本来は、総務課という管理部門でも、大きかったり深刻だったりする問題は独りではなくて皆で模索して解決していくもの…なのだが、”うつ病”になってしまった私が課長を務めていた頃は、そうなってはいなかった。

最前線の細かい実務から全体管理、そしてトップへの説明と承認迄の全てプロセスをゼロから考えた上で最終責任も担う、それを実質的に独りでやるようなことが幾つもあった。

上司Aは、自身の苦手そうな分野、また後々面倒臭くなりそうな案件からはスッと体をかわして私に重要部分を振ったし、上司Bは営業あがりの総務で、法務・経理・税務・システム系といった管理全般は素人に近かった。

…なので、製品の品質管理以外の全てを引き受ける総務課が管轄する業務の大半の分野で私は、選手兼監督レベルで絡まなくてはいけなかった。業務の実務と責任分担のバランスが、かなり歪だったのだ。

私のうつ病発症の原因は、役員Aのパワハラ6割、業務過多4割、くらいではないかと、今では分析している。

久し振りに現れた上司A

C工場長に用事があった上司Aが、久し振りに工場の事務所にやってきて話をしていた。

「…この人に絡むとロクなことが無いんだよな、サッサと工場に逃げるか。」

そう思って身支度していると、C工場長への伝達事項が終わったらしい上司Aが、私に目配せして、奥の会議スペースへの移動を促された。こうなると断る訳にもいかない。

「どうだ?忙しいか?」と、私への様子伺いから入ってきたのに、その直後からずっと自分や総務部の近況を話し続ける上司A。この一方通行振りは相変わらずだった。そして唐突に、こう聞いてきた。

上司A「おい〇〇、病気の方はどうだ?まだ通院しているんだろう?」

私「あ、ハイ、今は3ヶ月毎に行ってます。」

上司A「そうか、…もう、あれか?特に症状的なものはないのか?」

私「ええ、全く出てないですね。今の環境、皆に恵まれています。…というか、最近は、会議やなんかで偉そうに喋っている役員Aの顔を見ると無性に腹が立ってくるようになりました。」

上司Aは目を丸くした。

上司A「え?そうか!そりゃ、かなり回復したってことなんじゃないのか?いや、それは凄いな、良かったじゃないか。」

―そうなんです。今の上司であるC工場長、他の皆のお陰で、ここまで来たんです…。

能天気そうに喜ぶ上司Aの姿は、今の私には何だか滑稽に映った。そして…。

上司A「おい〇〇、お前、俺を恨んでないよな?」

上司Aは、誰かに何かを言われていたのかも知れない。真相は分からないが、何か責任というか罪の意識を持っているのだろうか?

私は、この上司Aのことを恨んではいないが、もうかなり昔、私が20歳代後半の頃に見限った相手であり、その後、幾度も呆れさせてもらった人物だった。この人に対する歴代部下達の愚痴、各部署からのクレームはどれだけ聞かされたか分からない。

勿論、年長者なので指導してもらうことも、奢ってもらう機会も沢山あった。何より、私がうつ病を発症した時の直属の上司であり、色々と対応して頂いた恩義は忘れてはいない。

しかし、休職後半に、医師の診断を受けて職場復帰について言及した私に対する追い込み口調には本当に失望したし、流石にキレた妻が訴えて説き伏せたこともある”オッサン”でもあった。

上司Aは、私より10歳以上も年上であり、クラッシャー役員Aより少し年上でもあったが、役員Aのあからさまなパワハラ振る舞いに、もう半分以上壊れていた私を、身体を張って庇ったりすることはついに無かった。

大して見習ったり尊敬する部分も見当たらず、年上の人として、困ったときの助けを期待できる人でもなかったのだ。

私「はァ、別に恨んでませんヨ…。」

私は、部下達に、こんなことを問うような上司には絶対にならないぞ、と強く思った。

 

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