本格SFアニメを切り開いた超大作

1974年に放送されたSFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌で、曲のタイトルもそのまま「宇宙戦艦ヤマト」。数あるアニメのオープニングテーマの中でも類を見ないダントツの勇ましさと悲壮感に溢れており、そのノリは大東亜戦争(太平洋戦争)当時の軍歌に近い。

この「宇宙戦艦ヤマト」という物語は、平成世代の子供達にはテーマや人間ドラマ描写、またメカ設定が古臭く感じるかもしれないが、幼児を卒業した”男の子”と呼ばれる頃合いの男子以上なら、そのハートに何かしら響くものがあるハズの燃えるアニメだ。

登場するキャラ達の誰もが、それこそ”大和魂”を燃やして、続々と押し寄せる強敵をヤマト一隻で打ち破り、仲間の死を乗り越えて地球を救う姿は、戦争を実体験した親から生まれ、戦後の動乱期を生きた団塊世代と、そのジュニア世代である私世代の、いわゆる”昭和な日本人達”の琴線を大いに刺激した。

また、地球を侵略する冷酷な敵役から後に主人公「古代進」や「沖田艦長」達の好敵手となり、最後には共闘する同志のような存在になった「デスラー総統」は、子供の目線から見ても痺れるカッコよさで、名言と名場面の数々を残し、後のアニメで続々登場することになるダークヒーローの先駆けとなった。

「ささきいさお」の歌唱がとにかく熱い!

さてこの曲、詳しい経緯は忘れてしまったが、私が小学校4年生の時に、小学1年生だった弟も含めての何かのご褒美?で、恐らく初めて親に買ってもらったレコードだ。どちらかの誕生日とかでも無かったはずで、なかなかの貧乏だったウチにしてはかなり珍しいサプライズのプレゼントだった。

この「宇宙戦艦ヤマト」と一緒に買ってもらったのは、ドラえもんの主題歌「ぼくドラえもん」だったが、多分、私がヤマトを選び、弟がドラえもんを選んだのだと思う。どちらのレコードも、弟と二人で随分と繰り返し聴きまくった。

しかし、10歳から11歳になろうかという頃の当時の私は、好きだった「ドラえもん」からは微妙に卒業する時期に差し掛かっていたこともあって、「ぼくドラえもん」には早々に飽きがきてしまったのだが、この大日本帝国海軍バリバリな「宇宙戦艦ヤマト」の壮行会な感じには、ぐっと引き寄せられた記憶が残っている。

今聴いても、とても良く出来た名曲であり、「ささきいさお」の少し枯れた歌声も最高。自身が宇宙戦士になったみたいで気持ちが盛り上がるし、なにより作品にここまでフィットする、というかむしろ牽引するくらいの熱量を持ったオープニング曲はそう無く、当時の小中高校生の吹奏楽部の発表会には、必ずラインナップに入っていたほどの完成度と知名度の高さを誇った。

冒頭に、”軍歌”と表現したが、”宇宙戦艦ヤマト”ではなく、その元になった”連合艦隊の戦艦大和”の方は、巨費を投じて建造されたにもかかわらず、既に航空機と航空母艦の闘いになっていた太平洋戦争では象徴以外のクソの役にも立たず、”大和ホテル”と揶揄される存在でしかなかった。

そんな大艦巨砲主義の究極の姿で、現在においても世界最大の戦艦「大和」を、宇宙戦艦にして銀河系の彼方に飛ばして大活躍するというストーリーは、当時、多くの日本人の、かつて果たせなかった幻想を叶えてくれたに違いない。

そんな日本人らしいアニメの主題歌「宇宙戦艦ヤマト」は、1970年~1980年代の“ジャパン・アズ・ナンバーワン”の時期を謳歌していた右肩上がりの頃に、”古き良き時代”をちょっと振り返ったような一曲だった。

 

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