うつ病物語 その174「インフルエンザの季節になると思い出すこと」

インフルエンザが流行する季節になると思い出すこと

役員Aは、私の評価では「クラッシャー上司」であり、世代的に仕方のない部分はあるが、心根ではパワハラを肯定する思想を持っている人物だ。

私がまだ30歳代後半で課長代理だった2010年代、10歳下の男性部下がいた。仕事面では、うっかり忘れや肝心な時にポカをする感じでソコソコの能力だったが、人間的には爽やかで、皆に可愛がられる和ませキャラだった。

私は、この部下のことはイマイチ頼りにならないなと思いつつも、憎めない男だし、素養自体は期待できるものがあったので好感を持っていたが、しょっちゅう風邪をひいたり変なケガをして急に休むので、そこは職場として困っていた。

そんなある時、その部下がまた風邪をひいて休むことがあった。

役員A「おい〇〇、××はどうした?」

私「はい、先程、風邪で熱を出したので休むと連絡がありました。」

役員A「なんだ、またか?一体なんだんだあいつは、ちゃんと体調管理してるのか?」

私「確かに××の場合、急に風邪とか腹痛とかで休むことが多いんですよね…。」

役員A「奥さんの管理が悪いんじゃないか?」

その部下は社内結婚であり、私も役員Aも、部下の奥さんのこともよく知っていた。しかし、話の流れが悪い。私は、役員Aが次に何を言い出すのか大体見当がついてきた。

役員A「××は、家に帰った後の生活が悪いんだ、〇〇は××に、インスタント物とかスナック菓子ばかり食べないで、奥さん含めてちゃんと健康管理しろと注意しておけ。」

そして、その後は「自分はもう5年以上、風邪なんかひいたことがない」とか「風邪をひく奴は生活が弛んでいる」という変な自慢話をされて終わる。その部下が休む度に、私はこんなことを言われていた。

インフルエンザに罹ってしまった私に「バカ者」

はっきり時期を覚えていないが、うつ病と診断される少し前、私はインフルエンザに罹ってしまった。先に息子が罹患しており、注意してはいたが、続いて高熱が出てしまったので半分諦めつつ病院に行くと、簡易検査であっさり確定した。

インフルエンザは、会社の規定では5日間の出勤停止。年末に向けてスケジュールが詰まっている時であり、私は暗い気持ちになりながら、恐る恐る役員Aに電話する。

私「…あの、すいません。今、病院なんですが、インフルエンザだと診断されました。」

役員A「バカ者」

いつも怒られっぱなしの毎日で委縮していた私は、役員Aのこの一言に対し「すいません」としか言葉を繋げず、もう半分以上うつ病だったせいか「バカ者」と一喝されたことは結構なショックで、家に帰ってからもその言葉は反芻されて落ち込んでしまった。

自分は、怒られるようなことをしてしまったんだろうか…?部下の××に向けて散々言っていた役員Aの言葉が、自分自身に重なってくる…。

風邪やインフルエンザに限らず、病気になることを完全に避けることは不可能だ。熟年夫婦2人だけの生活である役員Aと、私や部下××のように、乳幼児から小学生の子を持つ家庭とは、そもそも環境が違う。それなのに、役員Aからは、風邪やインフルエンザに罹るものは、完全に本人に落ち度があるように説教された。

更に腹立たしいのは、このような説教を女性社員や他の者にはしないことだった。こういう〇〇ハラスメント的な説教は、よく言えば「目を掛けている直属の男性部下」に限定されていた。

役員Aがどんなつもりだったか知らないが、このような類の話は、今の私に取っては完全にムカッ腹の立つエピソードのひとつでしかない。

 

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