うつ病物語 その23「パワハラの定義」

どんな発言がパワハラ?

これは指導なのだ、これを乗り越えられれば先が見えてくるはずだ、という必死の思いで、私は役員Aの圧力に耐えてきたが、これは幾ら何でも発言として度を越しているのでは?と思うことが増えてきていた。

「ガキの使いじゃないんだから、もっと頭を使え」「だからお前はバカ」「いいか、口答えするな」「よくこんなバカが揃ったものだ」「お前の顔を見ているとぶん殴りたくなる」「お前の考えなんか聞いてない」など、威圧的な言動で攻撃を受け続けた私は、人の話を集中して聞くことが出来なくなり、判断力、思考力ともに大幅に低下し、熟練した仕事でさえ遅く、ミスも増加、総合的な職務能力は半減してしまっていた。

日曜出勤中に屋上から階下を眺める

〇月〇日

何をやっても最初から怒られる。まともに報告すら出来ない。「ぶんなぐるぞ」と何回言われたか分からない。会社を辞めるというより、死ぬことが頭に浮かぶ。役員Aとこの先やっていける自信がない。こんな状態なので、家庭や夫婦関係もぎくしゃくしてきている。一体何のための仕事なのか?

私だって、いくら能力が管理職に見合わないバカでも感情がある人間。毎日説教されて全否定され、顔を見てたらぶん殴りたくなると言い続けるのは、あんまりなのではないか。

これは指導だ、教育だと言っているが、ただ攻撃するだけで、何か言えというから口を開けば遮られ、常に一方的。他にやり方はないのだろうか。役員Aは私を意のままに動かしたい、自分に同調した人間にしたいようだが、私は私、別の人間である。指摘などは真摯に受け止め、先につなげて期待に応えたいと思ってずっと我慢しているが、毎日の暴言に限界を感じている。

 

ある日の日曜日、一人で出勤した私は、期限に遅れていた仕事を何とか片付けて、このメモを書いて、自分のデスクでボーっと呆けていた。時計は昼を回っていた。今日のところは帰って休むことが出来る。しかし、明日はまた説教の日々の始まり…。

途中、屋上に上がって階下を見下ろす。いっそのこと飛び降りてしまおうかという衝動が首をもたげる。

「はは、何を考えている」

家族のことを思い出し、屋上を後にする。

帰り支度をしていると、上司Bが会社に来たので挨拶を交わす。私が出社しているのではと思い会社に来たとのことだった。その気遣いに感謝しながら最近の出来事を少し愚痴ったが、あまり長話をする気分ではなかったので早々に会社を出た。

この段階に至り、私は、まだ大丈夫だと思っていたが、実際には限界に達していた。

 

うつ病物語 その22へ     うつ病物語 その24へ     うつ病物語 その1へ

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事