うつ病物語 その186「うつ病の薬を止めるべきか否か?」

うつ病の薬を自己判断で飲むのを止める

私は、職場復帰して1年が経つ頃、自己判断で薬を飲むのを止め、それから1年半近くの月日が流れている。これは医師の指示に背く行為なのでお勧めしない。

しかし、「うつ病が再発した人の場合は寛解した後も予防のため薬を一生飲んだ方がいい」という医師と、「一年間に2回の休職は一度治ってから再発したのではなく、繋がっているひとつのエピソード」だと考えている私とでは、見解に相違があったのだ。

結果、薬を止めてしまったことによって、抑うつ症状とまでいかなくても、ちょっとメンタルが低調になったとか、何か変化があったのかというと、実際には全く何も感じることはなかった。

これは私が勝手にやったことなので、医師に対しては、処方されている薬(現在は最低分量らしい)をきちんと飲んでいることにしている。

投薬を続けるべきか医師も悩んできた?

3ヶ月毎の定期診察。この病院は新型コロナ対応指定病院なので、このご時世では非常に気を使うが、フェイスガードにゴーグル姿の医師達もすっかり見慣れてしまった。

医師「変わらず順調なのは何よりですね。」

私「はい、油断している訳ではありませんが、病気のことが過去のことになったな、という感覚でいます。」

医師「…で、うつとたんさんは、薬は、どうしたいんでしたっけね?」

お、来たな…!ここからは嘘をつかなきゃいけないので罪悪感がある。

私「はい、薬は止めたいなと思っています。」

医師「ま、僕だって薬は飲みたくないですよ。誰だってそうです。飲まなくても良いなら、それが一番いいですけどね。うつとたんさんの場合はなぁ…。」

医師は腕組みをして考えている。

医師「うつとたんさんは、今回をひとつのエピソードだと思っているんでしたよね?」

私「そうです。トータル2回の休職になりましたが、1回目は治って復帰したのではなく、職場からの復帰促しを受けたもので、それが2回目の休職に繋がっていると思っています。」

医師「…う~ん、その頃は別の医師が主治医だったので私は診てませんからねぇ。ただですね、いわゆる狭義の『うつ病』の定義は、脳内物質の不足とかストレスで、あ、ストレスも勿論あったと思いますが、うつとたんさんの場合は、それだけにしては症状が重すぎるんですよね。」

私はちょっと驚いた。自分の病気の度合いについて、これまで医師から明確に告げられたことが無かったからだ。

私「あの、私のうつ病って重たかったんですか?」

医師「そうですね、私は重いと思いますよ。ご自分ではどう思っていましたか?」

初めて医師にハッキリ言われた。私のうつ病は重かったのだ。随分長いこと苦しんでいたし、もう訳が分からなくなっていたが、非常に辛かったのは事実だ。

医師「私は、脳に何らかのエラーが起きていたのだと考えています。ですから、再発リスクを下げる意味で、少ない分量でも薬を飲んでいた方が良いと思うのです。ただ、飲みたくない薬を飲むのも良いこととは思わないですからね。薬代もかかりますし。」

私「…うーん、どうなんでしょう?」

医師「止めたからといって直ぐに不具合が出ることは無いと思いますが…、ま、いずれにしてもご本人だけで決めず、薬を止める時は奥様も一緒に来て下さい。」

医師はとても慎重に構えていた。しかし、医師の承認ありの断薬の日も近いかもしれない。

 

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