うつ病物語 その150「本当のうつ病とニセうつ病」

うつ病の薬、減薬スタート

減薬と言っても、特に改めて始めるようなことは何も無かった。既に私の頭の中には、”きちんと薬を飲まなければ”という使命感がかなり薄れていたので、普段通り過ごすだけで良かった。

寝る前に薬のことを思い出し、「あ、そうか、薬を飲むか。」と思えば飲み、例え思い出しても、「まあ、いいや。」と思えば飲まず、そもそも思い出しもしなければそのまま布団に入ってしまう。そんないい加減なスタンスで行くことにした。

ここは強調しなければならないが、これは医師の指示ではない。医師は、しっかりと薬を飲み続けた方が良いと言っている。それに私は、”うつ病の薬”に関して、基本的には肯定派だ。私は、うつ病のせいで心身ともに深く沈んでいた時期、薬の種類や量が変わったのは置いておくとしても、2年以上に渡って薬をしっかりと飲み続けた。

しかし、というか、私が飲んできた薬は勿論、その後の調べで分かったのだが、”うつ病の薬”は、即効性や分かりやすい変化を期待するものではなかった。その効能は、ミックスビタミンなどのサプリメントに近く、数か月に渡る休職とのセットで初めて「少しずつ調子が良くなってきたかな?」と思えるようなものなのだ。

そして、良くなったのかどうかも、全ては患者本人の主観による説明と、それを聞きながら、患者の前回の診察時との変化を観察している医師の判断に委ねられる。本当に良化しているのか?どこまで治ったのか?あとどのくらいで完治するのか?…患者本人も家族も、そして職場も一番気になるところだが、それを数値や画像に表すことは出来ない。

ああ、なんと面倒臭い病気だろう。少し大袈裟に言うが、まだまだ回復途上であっても、本人が「大丈夫です。」と言えば完全職場復帰になるし、「無理です…。」と言えば休職となる。

本心からの本当の「無理です…。」なのか、ヘタレ根性や悪意からの「無理です…。」なのか。これは、医師としては見抜くのが難しいと思う。しかし、このせいで、本当の「うつ病患者」と「ニセうつ病患者」が出来てしまい、”うつ病の診断書”というものは、どこか眉唾モノで見られる風潮が世間一般にはある。”うつ病”は、大きな誤解を生んでいるのだ。→うつ病関連 その10 うつ病の診断書のもらい方を解説!不安を感じる必要はない!

私は、紆余曲折はあったが、実際に病状が良化し、復職して、今では”うつ病に苦しんでいた自分”を過去の姿として振り返ることが出来るまでになったのは、「5ヶ月間の休職(完全な休養)」「職場異動(うつ病発症の根源からの退避)」を2本柱としても、補助として「うつ病の薬」があったのだと思っている。

割合としては、休職4割、異動4割、薬2割、くらいの感じだろうか。だから、薬の効果はあったと考えている。しかし、今の自分の感覚では、薬を飲まなくなったからといって、うつ病が再発するとはとても思えない。

うつ病から立ち直って仕事をしながら薬を飲んでいる方々の全てにお勧めする方法では決してないが、自分の心身状態に自身が持てるのなら…。そう、血圧降下剤や糖尿病の薬と違い、あくまでうつ病の薬の場合においてだが、薬を減らしたり止めたりするのは、あくまで患者自身がリスクを負う前提で、アリだと私は思う。

 

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