うつ病物語 その133「うつ病の”後遺症?”」

”ため息”の質

私の勤務先の朝は早い。今は毎朝、5時に起きて、6時過ぎには会社に着き、6時30分から仕事に就いている。これで終わるのが早ければ何も問題ないが、工場の仕事が終わるのが19時、多少の事務整理をして帰るのは20時前、家に着くのは20時30分くらいである。

実際のところ、もう活動エネルギーは残っておらず、夕食を済ませてパソコンの前に座っても、5分と経たずに舟をこいでいるのはザラで、ギターを10分ほど触ったかと思うと、そのまま布団に直行しているような毎日だ。

結果的に家族を顧みない生活になっているのは問題なのだが、”うつ病”の回復期という観点からすると、悪くない…、というか、毎日しっかり熟睡しているということを考えると、理想的なのかもしれない。

長らく睡眠障害に悩まされていた私だったが、今は夜中に何度も目が覚めるということは皆無。アラームが鳴るまで目が覚めることはまずない。

そりゃ目が覚めた後は、「あ~、また仕事か…。」と呟き、「ふう…。」とため息をつくことは多い。しかし、妻と長男には、こんな風に言われた。

妻「あ~、なんか同じため息でも、前とは全然違うね。」

私「…?んん?そうかい?」

長男「そうだよ。前はもっと、”ハァァァァァ…”って感じだったもん。」

妻「そうそう、そんな感じだった!」

自分では分からなかったが、”ため息”の質が全然違うらしい。言われてから考えてみると、ひとつの分析ができた。

以前のうつ病時のため息は、現状の閉そく感、打開策の浮かばない苦悩、そして今日もまた怒られる…という委縮感から、身体の奥底から絞り出されるようなものだったが、最近のため息は、もっと軽い。「あ~今日も忙しくて大変だな…。」といった程度のものなのだ。

うつ病の”後遺症”

確かに、私は以前に比べ、ずっと分かりやすい部署に異動し、今は基礎的な業務の習得に励んでいる段階なので、目の前の仕事に関して深い悩みなどがあるはずもない。

C工場長は、今の私に過度な期待を掛けることはなく、少し距離を置いて様子を見てくれている。おかげで身体は疲弊しているが、精神はスッキリとした状態を保っている。

…が、そんな今の私でも、グッと重たい気持ちになる瞬間がある。

それは、同年代の同僚と話をする時だった。彼らは、既に会社の中枢業務を担っており、正に幹部である。背負わされている責任も、こなしている業務の質も、そして見ている視点も、今の私とはまるで違うレベルにあった。

彼らは、私に対して「病気は大変だったかもしれないけど、今は楽してていいよね~。」的な雰囲気を感じさせることは全く無いが、本来なら、彼らと対等に渡り合わなくてはならなかった私の、現状の体たらくに対する如何ともしがたい気持ちは、どう表現していいのか分からない。

…私は、一体いつまで病人で、いつまでこのハンディを抱えなくてはいけないのだろうか?

 

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