うつ病物語 その91「会社とって”人”とは」

上司Aとの面談は続く…

発症に至るまでの経緯は、これまでにも聞かれた時に何回か話したことがあったが、上司Aがここまで聞く姿勢を取ってくれたのは初めてだった。詳しく話せば相当長くなってしまうのでポイントを絞ったが、上手く伝わっただろうか?

私の場合に限らず、うつ病が発症するまでの経緯は重層的なはずである。分かりやすい理由、あるひとつの出来事だけで発症することは”まれ”だろう。そして、長い時間をかけて少しずつ進行し、ある時点から「通常のうつ気分」から「うつ病」に移行する。

私の話をじっと聞いていた上司Aは、うんうんとうなづきながら、じっと聞いていた。

上司A「…それで、回復してきたなと感じたのはいつ頃からだ?」

私「2月から休職に入って…、母の病気のこともあって3月まではダメで、4月くらいから回復を実感するようになりました。それまでは、家に居ても強張った表情をして、話しかけても反応薄い、という状態だったようです。今はかなり良くなりました。」

上司A「そうか。今までは休日も休んだ気になってなかったんじゃないか?」

私「ええ、まあ、そうですね。」

これは、時として私のことを病人として扱わず、管理職の意識云々で説教していたアンタのせいもあるんだが、と思ったが、口には出さないでおいた。

上司A「まあ、7月から復帰するとした場合、あと 1ヵ月休みがあるんだ。こんな期間はもうないだろうから、特に土日はしっかり楽しむようにな。」

私「ええ、だいたい毎日ウォーキングやってますし、先月からギター教室に通い始めました。」

上司A「おお、そりゃいいね。」

実際にはブログ開始も大きいのだが、内容が内容なので会社の者には黙っていることした。

会社にとって”人”とは

私「まあ、何するにもお金がかかるので妻には申し訳なかったんですけど、二つ返事で応援してくれたんで。や、でも収入がないってのは大変です。傷病手当金は思ったり早く振り込みになって助かりましたが…。」

ここで、ひとつ確認したいことと、言っておきたいことを言うことにした。

私「…あの、夏の賞与って、少しは出ますか?」

上司A「休職期間は算定から外れるが、12月~1月は出勤しているんだから、3分の1は出るんじゃないか?管理職の査定はこれからだから分からないが…。」

私「そうですか…、しかし、私は病気になって休職して、家計のやり繰りに苦労しているっていうのに、役員Aは何のペナルティもないってのは、正直面白くないですよ。私からしたら、あの人は加害者なんですよ、それが今度は専務になるなんて…。」

上司A「ん…、〇〇、それは考えない方がいいな。考えても仕方がないよ。会社ってそんなもんだ。」

そうなのだ。会社にとって一番大事なのは「人」などと言ってみたところで、それは「事業を立ち上げたり会社に利益をもたらす人」であって、全ての「人」を指しているのではない。

実際には色んな「人」がいて組織は成り立っている。目立つ人だけでは集団は維持出来ないのだが、経営層も上に行けば行くほど、そんなことは忘れてしまう。それが人間の限界でもある。

そんなことは先刻承知のはずだったが、一従業員、一管理職など使い捨てに過ぎないことを、私はこの病気で身を持って知ったのだった。

 

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