うつ病物語 その49「うつヌケ」と妻の存在

うつ病物語

うつの漫画「うつヌケ」を読む

会社の方は徐々に繁忙期入りして、私の職場も慌ただしくなってきた。繁忙期はおよそ2ヵ月間続くが、前後の2週間も結構ドタバタするので、実質3ヵ月間である。私の調子は相変わらずで、ドンと落ちることは無かったが、浮上する雰囲気もなく低迷していた。

そんな頃、妻が「うつヌケ」という漫画を買ってきた。うつ病患者の間で話題に上っていた、サラリーマン兼漫画家という肩書を持つ田中圭一氏が描いた、その名の通りうつ病をテーマとした漫画である。自らのうつ病体験と、うつ病から脱出した経験を持つ様々な方に取材をして描かれたもので、治療法ではなく体験談としての体裁が強いつくりになっていた。

取り上げている話が、一般的なサラリーマンのケースではなく、業界人が多かったため、私とって馴染みやすい内容では無かったが、作者の言う「うつになった原因は”自分を嫌いになったこと”という言葉には、強く共感するものがあった。

思い返せば、私はこの1年というもの、仕事が上手く行かなかったことから自分に自信を失い、期待に応えられない自分を卑下し続け、強烈な自己嫌悪に度々陥っていた。確かに、自分のことを嫌いになっていた。

そうか、これがうつ病発症に繋がったのか、ということはスッキリと分かったが、漫画に描かれている色々な方達が用いたうつ脱出のプロセスや手法については、当時の私の思考回路では懐疑的なイメージが先行してしまい、実践してみる気にはならなかった。

それよりも、うつ病真っ最中の当事者にとっては、たとえ漫画形式であっても、内容が内容だけに、読み進めることは苦痛で、ざっと流して読むのが精一杯だった。

 

妻の存在

上司Aは、話が一方的なことが多いが、定期的に面談の場を持ってくれる。上司Bは、私の専売業務では難しい部分もあるが、随分と気を使ってくれる。

役員Aは、パワハラを自覚し、それを変える気もないとはいえ、色々と注意を払ってくれる。会社には、同期入社の親友と呼べる者や、本社には、水面下で応援してくれる者もいた。しかし、やはり妻の存在が一番大きかった。

日々に流され、押しつぶされないよう踏ん張っている私に代わり、妻は、関連する本を買ってきてくれたり、私の様子を見計らって話し相手になってくれたりと、その適切な距離感を大事にしながら私の理解者であり続けようとしてくれていた。

私には、学生時代からの付き合いの長い社外の友人もいたが、やはり同じ会社人同士であるため、今の自分が落後者だと思っていた私には、第一線で頑張っている彼らに心中吐露する気にはならなかった。

職場の人、そして妻。皆、うつ病になってしまった私に対し、何かしらのエネルギ―を注いでくれているのは確かだった。それには素直に感謝の気持ちで一杯だったが、私はというと、いつまで経っても完治に向かっていく具体的なイメージを描けないでいた。毎日がもどかしかった。

 

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