うつ病物語 その92「心機一転、心晴れやかに…」

工場のキャリアを積んだ先は…

上司A「役員Aにペナルティはないのか、というのは考えから外した方がいいぞ。それが自分のためだ。」

私「はあ、まあ、そのつもりですけど…。」

上司A「それより、工場に行ったら必死で頑張らないとな。そこでキャリアを積んでいるうちに、5~6年後には役員Aも居なくなる、そうしたらまた事務所に戻る可能性もあるだろう?」

確かにその通りだった。私が異動した後は上司Bが経理や税務の責任者になるだろうが、その上司Bにしても、定年まで5年しかない。本社から誰か出向してきているかもしれないが、経営側ととすれば、管理部門にもプロパーの叩き上げを一人配置したいところである。

そうなると、経理や税務、安全衛生や対労働組合に詳しく、労務、財務に庶務全般もマズマズ出来る私の経歴は会社にとって貴重なような気がする。

私「…そうですね、そうなるように頑張ります。」

上司A「そうだろう?会社人生なんて、どこでどう転ぶか分からないんだ。何も悲観することはないんだよ。」

上司Aはこう言って、以前に勤めていた職場の話を引き合いに出して、私を元気づけようと話をしてくれた。上司Aは、私が入社して3年目に、中途で採用された経緯があった。

気力の復活

上司Aと別れ、私は家路についた。別部署へ異動…、営業部で入社し、2年目には総務部所属になって27年やってきた。これまで、異動希望を出したことも、異動候補に挙がったこともなく、ずっと管理系の仕事を主軸にして積み重ねてきた。

上司Aとの先程の意思確認で、もう異動は決定である。何かピンとこないが、じわじわと解放感が沸き起こってくる。私は、現職場に対して、もう完全にやる気を失っていた。勿論、役員Aのことが最大要因である。この会社には管理部門が総務部しかないため色んな役割があるが、ひとつ大きいのが、経営陣のバックアップ業務である。

役員Aのバックアップなど、今の私にとっては耐え難いほどの苦痛以外の何物でもない。向こうは向こうで、自分の手足にしようとしたコマのひとつが、言うことを聞かずに壊れてしまった程度に考えて、私のことなど既に眼中にないことは想像に難くなかった。

しかし、私だってただイタズラに職歴を重ねて来たわけではない。役員Aに対しては、いつか見返してやりたい、いや、見返してやる、という強い気持ちが湧いてきた。

こんな風に、クソ根性が出てきたのも、うつ病が良くなってきたからに間違いなかった。病状が悪い時は、絶対にこんな風には考えられない。正に弱り切った状態だからである。私は、5ヶ月の時間をかけてゆっくりと着実に、うつ病回復の目安である”寛解”に近づいていた。

 

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