うつ病物語 その122「慎重な判断を」

うつ病物語

一体何の”回復”を図っているのか?

医師の診察は、慎重な構えを崩すものではなかったが、私の体調は、随分と回復してきているのは間違いない。うつ病の経験が無い方への説明は難しいが、休職の後半からは、一見すると健常者と思えるような状態にあった。

だからこそ職場復帰をしたのであるが、休職中のような外的なストレス要因を何も受けない状態で健常者であっても、職場に入って色々な刺激を受ける中ではどうなるのか分からない。

うつ病患者の多くは、非常にナーバスであり、ネガティブであり、そして脆い。ここで言うところの”回復”とは、精神的なタフさとか、困難なものに対する挑戦欲とか、そういった内面の奥深くのところのメンタルが、発症前の状態に回復しているのかどうかである。

そういう意味では、完全回復はまだ少し先の話であり、今はリハビリ期間とするのが賢明な判断である。医師の診断は正しい。しかし、当人としては、心身の調子が良いだけに、どうしても焦る気持ちが出てくる。

それに他人からは、普通に健康そうに見えることも、当人としては気にかかるポイントになる。まだ忙しそうに仕事をしている同僚たちを置いて、早めに退社するのは、やはり気が引けるのだ。

C工場長への恩義

嫌な言い方をすれば、「うつ病持ちのコイツは今の部署には置いておけない」と、役員Aや上司Aに見限られた私は、C工場長に拾ってもらったお陰で、会社に残りながらも、うつ病の再発リスクを大幅に減らすことが出来た。それだけに、C工場長には絶対に迷惑を掛けたくないという思いが強い。

管理部門から工場部門に異動した私が、C工場長にかける”迷惑”とは、当面、3つあると思っている。1つ目は、うつ病を再発してしまうこと、2つ目は、腰などを痛めて就労不能になること、3つ目は、ケガ(労災事故)を起こすことである。

妻の後押しで慎重な判断へ

病院の帰り道、私は少し悩んでいた。てっきり、今日の診察では完全復帰にGOサインが出るものと思っていたからだ。

医師の指示に従って、もう一ヶ月定時退社を続けるか、それとも、上司Aが常々言っている、医師の言うことは慎重過ぎると判断して完全復帰するのか…?

帰宅後の妻への報告は、家の中が少しバタバタしていたこともあって、ポイントを端折った曖昧な説明になった。迷いがあったからだ。どうするのが自分と職場(=C工場長)にとって最良なのか…。

翌朝、出社前に、妻にちらっと医師に言われた通りのことを告げた。

妻「いやいや、それは先生の言う通りにしないとダメだよ。何で言ってくれないのさ!…やっぱり私も病院に付いていこうかな。」

妻は即答だった。

私「…うん、そうだな、そうするよ。」

今更、格好をつけたところで仕方がない。幸い、C工場長は上司Aとは違い、素人考えの荒療治を促したり、病人に向かって”お前は管理職なんだから~”等と説教を垂れる心配はない。せっかくここまで来たのだから、最後まで慎重な姿勢を崩さずに治していくことにした。

 

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