うつ病物語 その121「職場復帰後、初の診察」

うつ病物語

久し振りの診察日

工場に配属されての2週間はあっと言う間に過ぎ、早くも3週目に入った。身体の方は、少し、慣れてきたような気もするが、まだまだ時間がかかりそうである。とは言え、夜はグッスリと眠れており、起きる時間は5時前と早いが、寝不足感は無く、いい睡眠が取れているようだった。

そうこうしているうちに、診察日が近づいてきた。半日休暇の届出書の備考欄に、”通院”と書いて、上司である工場長に提出する。月日が経つのは早いもの。まだ休職中であった前回の診察時に、次回は一か月後にしましょう、と先生に言われたのが、つい先週のことのようである。

工場の状況が少し遅れ、12時を結構過ぎてから会社を出て、急いで昼食を取り、急ぎ足で病院に向かった。それでもギリギリ間に合う時刻に病院に到着した。総合病院なので仕方が無いが、病院は相変わらず混雑していた。すっかり慣れた手順で受け付けを済ませ、自分の名前が呼ばれるのを待つ。

今回は、話す内容がはっきりしていたので、あまり待合室で考えをまとめる必要は無かった。何回か前の通院までは、妻と一緒に、ここで待っていたことを思い出す。今思えば、あの頃は、うつ病の真っ最中であった。当時は、自分自身の認識があやふやなのだが、ハッキリと心身が不調だったのが今は良く分かる。こういうことは、過ぎ去った後で冷静になって振り返らないと分からないのである。

医師に驚かれる

程なくして名前を呼ばれ、診察室に入る。

医師「はい、〇〇さんですね。今日は一人で?」

私「はい。一人です。」

妻と一緒に来ていたのは、もう3~4回前の診察なのだが、いつも必ず確認をされる。

医師「で、どうでしたか?職場復帰されたんですよね?」

私「はい。今月から新しい部署で復帰しまして、お蔭様で順調に経過していると思います。」

医師「なるほど、で、え~っと、短時間勤務にしていたんでしたっけ?」

私「いえ、朝は早出をしてまして、帰りは基本定時で上がっています。」

医師「朝というのは何時から?」

私「…はい、あの、6時30分から仕事をしています。」

医師「え!それは随分と早いですね。」

私を見る医師の目が丸くなる。

医師「それで、帰りは6時くらい?…う~ん、ま、それだけ仕事が出来ているのは、まあいいことですけどね。」

私「で、先生、今は定時で上がっているんですが、残業の方はどうでしょうか?」

医師「や!それは止めた方がいいです。」

余程驚いたのか、医師の目が更に丸くなった。

医師「今現在でも、早出をしている訳ですから、更に残業もというのは仕事のし過ぎですよ。急に負荷を掛けるのは良くありません。それにこれは、病気ではない人にだって言いたい台詞です。」

ここが、世間の実態との乖離を感じる部分である。医師の言うことは分かるが、世の中はそういう風には出来上がっていない。ごく一部の企業を除き、大多数の一般企業は、それではやっていけない。

しかし、医師の言うことは正論ではある。私は、話題を変えた。

私「あ、先生、朝に飲んでいる”エビリファイ錠”なんですけど、ついつい忘れてしまって、飲んでいない日の方が多いです。すいません。」

医師「そうですか、…それなら、この薬は一旦外してみましょうか。もし、これで状態が悪くなるようなら、また再開しましょう。」

医師の反応は、思っていた通りだった。”飲み忘れる”と言うのは、薬のことが意識から遠のくということであり、それは、回復度合いとかなりリンクする。

私は、2年の闘病生活の中で、好調不調を繰り返してきたので、そのことが良く分かるのだ。そしてこれは、一番最初に診てもらった医師に、それとなく教えられたことでもあった。

 

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