うつ病物語 その72「休職して1ヵ月が経過」

母の大腸ガンの病状と手術日が決まる

母は入院して1週間以上に渡って、検査検査の毎日であったが、ようやく消化器内科の医師による説明が行われた。直腸の近いところに出来たガンで、リンパ節への転移の有無は開けてみなければ判断がつかず、ステージとしてはⅡないしⅢという結果であった。

もし、ステージⅢということであれば、大腸ガンの場合は、全身への転移とみなすとのことで、医師の淡々とした説明を聞いた両親と弟、そして私は、行く末を案じて力を落とすのだった。

本人は覚悟を決めたのか比較的平静であったが、大きなショックを受けて落ち込んでいるのは父の方で、私は、なるべく体調の都合をつけて実家に泊りに行ったり、頻繁に見舞ったりしていた。体は正直なもので、そうやって頑張った後は、決まって寝込んでしまうのだった。

妻としては、息子として頑張って両親を支えてあげてほしいと思う一方で、私のうつ病が悪化したりしないかと気が気ではなかった。

自身の体調は全然良くならず

そして母の手術は予定通り行われ、幸いにも転移は認められず、病巣は全て摘出という、最も望んでいた結果となった。嬉し涙を流す父や親戚たちに、私も目頭が熱くなる。この先、抗がん剤治療とか色々あるが、ひとまず山は無事に越えた。私は久し振りに心底安堵し、心がスーッと晴れ渡るのを感じた。

しかし、自分のうつ病治療のためにとった休職期間が、実質的に両親の介護に置き換わってしまったせいなのか、私の体調はずっと低空飛行のままであった。

また、時折かかってくる上司Bからの仕事の問い合わせ電話も、引継ぎが十分ではなかったので仕方がないのだが、どうしても暗い気持ちに引き戻されてしまい、落ち込んだ気分になって苦しかった。

ある時などは、電話が掛かってきた後で、直ぐに逆流性食道炎の症状が出て、自分で驚いてしまった。私のうつ病は、自分が思っているよりも重いのかもしれない。

しかし、診察ではこのように言われた

この頃、休職に入って3回目の診察があった。母のこともあり、体調は良くなっていないという私の説明に対し、医師はこう答えた。

医師「そうですか、それは大変でしたね。でも、そんなに大きなことがあったのに、現状維持で行けたのは逆に良かったと考えていいんじゃないですか?」

ハッとなった。そうか、そういう考え方もあるか…。横では妻も、そうだそうだと頷いている。どうしても悲観的に考えてしまうこの病気、自分では気付かないが、そういう思考回路になってしまっているのだ。

薬については、レメロンを半分に減らして、イフェクサーを増量、そして新しくエビリファイというものが追加された。こういうことを繰り返して、一番有効な薬に切り替えていくものらしい。

休職して1ヵ月が過ぎたが、まだまだ先は長そうだと感じるのであった。

 

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