うつ病物語 その47「うつ病患者のいる家庭」

うつ病物語

 うつ病患者のいる家庭

うつ病で苦しむのは本人だけではなく、家庭もである。うつ病を患っていても、会社に居る間は気も張っており、低調ではあっても何とか持ちこたえているが、家庭に帰ってきた時には、もうぐったりとして何をする元気もなかったり、妙にイライラしていたりするので、平穏な家庭を維持するのは難しくなってくる。

私としては、これまでは帰宅中に会社のことは忘れるようにし、家庭には出来るだけ持ち込まないようにしてきたが、うつ病になってからは、気落ちしたまま家の玄関を開けることが多くなった。妻は、そんな私の様子を敏感に察知し、そっとしておいてくれたり、あえて明るい話題を振ってくれたりしてくれていたが、子供達のことや家庭のことなど、様々な相談事を夫にすることが出来ずに、自分で抱え込んでしまうことが常態化してしまった。

私は私で、妻の気遣いに甘えることが多くなり、夕食を取った後は直ぐに寝室で横になってしまったりで、夫婦間のコミュニケーションは、しばらく途絶えるか、ごく最低限なレベルを行ったり来たりする程度になってしまった。これも数日や1週間程度なら、いくらでも取り戻すことが可能だが、長期に渡ってくると家庭はぎくしゃくしてくる。

 

うつ病のせいでぎくしゃくする家庭

私「ただいま…。」

妻「おかえり。お風呂入れるよ。」

私「うん…。」

風呂から上がった後、無言で夕食を食べ、妻や子供の話には半ば適当に返事。そして21時には寝室に入ってしまうような日が続いたかと思えば、和やかに話しかけてきて調子よさそうにしていた1時間後には硬い表情で拒絶オーラを出すような毎日。これでは、家族の信頼関係が維持出来る訳がない。ある時、我慢し切れなくなった妻からこんな言葉を掛けられた。

妻「あのね、具合が悪いのは分かるんだけど、そっとしておいてほしいのか、家族と楽しく過ごしたいのか、どっちなのか、ちゃんと言ってくれないと分からないよ。こっちだって相談しなきゃいけないことはあるし、なるべく調子のいい時を見計らっているけど、全然分からない。私はどうすればいいの?」

人に言われてハッと気づくことは数多いが、近しい関係である夫婦間でも、それは同じであるし、むしろ一番重要なんだと再認識した瞬間だった。こんなことをパートナーに長々と感じさせていて本当に申し訳なかった。

仕事をしなきゃ生活は出来ない、でも、そのせいで生涯一緒に居る相手と隙間が生まれてしまっている。一体、何のための仕事なのだろうか?私はこのままこの会社に勤めていていいのだろうか?

このことについて毎晩悩んだが、なかなか答えは出なかった。

 

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