うつ病物語 その46「うつ病患者はナーバスになっている」

うつ病患者の感じ方

一見、普通の状態に見えるうつ病患者(重度の場合は別)だが、異常に疲れやすかったり、集中力の著しい低下等の他に、私が自覚した症状がある。

上司Aに指示された資料を作成し、仕上がり具合をチェックしてもらっていた時に、こんなことがあった。

私「昨日の指示に合わせて、〇〇と△△を区分けして、◇◇を追加しています。どうでしょうか?」

上司A「…うーん、こうなると、前年と予算の対比部分を、これに合わせて組み替えた方がいいんじゃないか?」

私「え?全体合計では組み替えているので、大丈夫じゃないでしょうか?個別に見ていくケースはまず無いと思いますし」

上司A「いや、でも万が一ということもあるし、やっておいたほうがいいよ」

その方が万全なのは私も分かっていた。しかし、それにかかる労力と、出来上がりの資料の重要性を天秤にかけた時には、今、私が提示した内容で十分だと判断したのだった。

私「…それをすると相当な時間が掛かりますが…?この資料、今回の打ち合わせ以降はまず使わないと思いますし…。」

上司A「そんなこと分からないだろう。手間が掛かってもいいからやっておけよ。」

私「…はい、分かりました。」

うつ病患者はナーバスになっている

たったこれだけのやり取りであったのだが、私は、指示された通りに組み替える作業にかかる労力の膨大さに呆然となり、しばらく頭が働かなくなって、ボーっとしていた。早く手を動かせばいいのに、ショック状態で一向に進まない。

しかし、2時間程経ち、少し冷静になった私は、作業方法をもう一度考えて見ると、先程のようなショックを受けるボリュームではないことが分かってきた。そして、なぜ、あんな風に頭が働かなくなってしまうのかが不思議に思えてきた。そう、手間には違いないが、大したことはないのである。よくよく見直せば、今から半日も頑張れば仕上がる内容であった。

こんな風に、仕事の全体像を捉えることが出来なくなり、何をすべきとか優先順位とかの判断がおかしいことが多くなった。

他にもある。例えば、ちょっとした注意を受けただけでも、物凄く重大なミスを犯したように思い、強く叱責された時のように落ち込むことも多くなった。そして、一度ショックを受けると、短くて2時間、長いと半日くらいはそれを引きずってしまって、気が付くと「うつノート」を書いていたり、呆然としたりしていた。とにかく、通常の状態とは比較にならないほどナーバスになっているという表現が一番しっくりくるだろうか。

万事、こんな調子であり、復職後、上向き傾向から停滞していたメンタルの調子は、徐々に不安定さを増していくのだった。

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