うつ病物語 その136「私を受け入れてくれた部署の裏話」

うつ病物語

さて、工場の被害は…?

ところどころの非常灯だけを頼りに薄暗い工場内に入ると、かなりの静寂を感じた。普段、いかに機械類の音がしているのかが分かる。

すると前方から、懐中電灯を持った人物が近づいてくる。工場長代理だった。

代理「ああ、課長、今着いたんですか?」

私「ええ、15分くらい前っすね。信号が全部消えていて走りにくかったですよ。」

そして、工場長代理と、工場内をざっと点検して歩いた。と言っても、配属されて2ヶ月しか経っていない私には、何をどう確認すればいいのか分からず、工場長代理の後を付いて行って眺めているのが関の山だった。

結果、操業時間外の停電だったこともあり、特に異常はなく、私と工場長代理は工場の外に出た。ウチの会社には、かつて自家発電設備があったが、燃料となる重油の高騰と管理リスクがネックとなり、買電に切り替えられていた。

電力の供給がまだまだ不安定だった昔と違い、買電にリスクは無い…、という判断であったが、何が起こるのか分からないのが現実。こんな長時間かつ大規模な停電は、まさか起きることはないだろうと思われていたが、正に想定外の出来事が起こってしまった。会社としては、全くどうしようもなく、従業員は家に帰して、とにかく電力の回復を待つしか無かった。

工場長代理も私も、結局どうしようもないという考えに行きつき、一気に緊張感が抜けた。

代理「…ま~どうしようもないですし、ひとまず帰りますか。」

私「そうだ…ね。それしか無いですね。」

私を受け入れた部署の裏話

並んで歩きだすと、工場長代理は、何かを思い出したかのように話し始めた。

代理「あ…、課長?」

私「はい?」

代理「体調が悪かったのだから、ああやってどーんと休んで良かったんじゃないですか?…いや、無理していても、結局いいことは無いし、良かったんだと思いますよ。」

私「…ええ、まあ、そう思うことにしてますけどね。なかなかしんどかったですよ。」

代理「…いやあ、あの、まだ課長が休職している時に、C工場長からね、”〇〇をウチに呼ぼうかと思っているんだけど、どう思う?”って聞かれたんですよ。」

職歴だけは長いが、現場仕事は素人の、そして40歳代後半の、更に”うつ病明け”の男である。生産現場の最前線として、決して欲しくなるような人物ではない。上司Aは、自分が私のC工場への異動を思いつき、工場と役員に提案したような言い方をしていたが、果たしてどうなのか?

代理「で、俺は、”いや、いいんじゃないですか?今、人手不足だし、〇〇サンなら、どういう人間かも分かっているし、いいと思いますよ”って答えたんすよ。そしたら、C工場長も、”そうか、そうだよな”って。」

私「…そうだったんですか、イヤ、本当に有難い話で、感謝してます。」

まだまだ全然だが、この部署でも何とかやっていけそうだな、と思い始めていた時だったので、こういった裏話は、とても心に響いた。

 

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