うつ病物語 その189「何も学んでいない職場と役員」
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全く畑違いな部署への異動

私が休職して離れた後の総務部に、Sさんが次長として配属されたことは社内では結構な驚きニュースだった。

Sさんは長らく工場管理の仕事をしており、事情により閉鎖されるまでは工場長を務めていた。そのため、会社としての要員再配置の難しさは想像できたものの、それでもSさんが総務部の次長職というのは畑違い過ぎる印象を皆に与えた。

異動からしばらく経った頃、偶然Sさんと顔を合わせた時の会話でも
・範囲が広すぎて付いていけない
・色んなことがあって忙しい
・進め方が難しい
とこぼしていて、「まあ、総務のことは〇〇(私のこと)が一番良く分かってるよな」と力なく笑う表情から、苦しんでいる様子が伝わっていた。

それだけに、Sさんがこの春から部長になったことは出世だが、更に苦労するのは目に見えていたので、正直心配があった。

職場の反応は…?

S部長の元部下で、今は私と同じ職場にいる部下Iは、妻同士の仲が良いことからS部長の自宅に招かれたりしている間柄。S部長が会社に来れなくなったという嫌なニュースに対し一番敏感に反応し、真剣に気を揉んでいた。

部下I「もうさ、この会社おかしいよね、〇〇兄やJもそうだけど、今度はSさんだよ?」

私「…うん、まだ、うつ病とかって決まったワケじゃないないけど、きっとそういう方向だよな。」

部下I「恐らく役員A絡みだよ、今まで色んなことが起きてきたけど、全部その人か、それを好きにさせてる会社の体制に行く着く。どうにかしないとダメだわ。」

私「これはアレだな、内部通報とかあるかもね。」

部下I「‥あるんじゃない?そう感じている人は多いと思うよ。」

部下Iは、今の職場に異動する前から、役員Aの社内での振る舞いや言動を否定しており強い不信感を持っていた。また、役員Aが掌握していることだけが理由ではないが、それ故の総務部の体質、また機能不全に関しても不満を抱えていた。

私「今はまだ分からないことばかりだから、状況を見ていくしかないよな。」

部下I「うん、そうだね。とにかく本人のことが心配だわ。」

本当にSさんは精神を病んでしまったのだろうか?それとも、多くの人が経験する一時の落ち込みなんだろうか?

何も学んでいない職場と役員

間もなく、総務部の上司Aは「Sは体調不良で今週一杯は休むが、来週からは出社することになっている。大丈夫だ。」と伝えてきた。

私「そうですか、それならいいんですが…。」

上司A「俺は当時の〇〇(私のこと)を見てきたから、申し訳ないけど比較しているんだが、〇〇の時よりもSは軽度に見える。長期になることはないと思う。」

私「んん~…周囲からは分からないものですよ?本人が病気だと思いたくない病気なので、本人もそこまで自覚していないと思うし…。」

上司Aは、当時の私のことを引き合いに出し、『Sは少し落ち込んだだけ』と判断していた。

医者でも家族でもない人に、なぜそんなことが分かるのだろうか。私の一件を振り返っているのなら、もっともっと慎重に構えなければならないのではないか。

上司Aだけでなく、役員Aも上司Bも、他の役員や総務部のメンバーも、Sさんの状態を軽く見ているようだった。

Sさんは喜怒哀楽を分かりやすく表に出すタイプではなく、穏やかな雰囲気で、辛いとか苦しいといった面を出さない人柄だ。今回の場合、それもマイナスに作用してしまっているが、会社組織というところは、なぜかこういう労務案件には危機意識を鈍くする。

組織や職場に原因があるのではなく『本人の問題』で整理してしまいたいのだ

私は、やるせない気持ちが膨らむばかりだった。

 

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