原田知世のチャレンジ曲「雨のプラネタリウム」
1986年リリース、原田知世9枚目のシングル。
この曲は、トヨタ・カローラⅡのCMソングだったので、私もTVで聴いて知ったはず。
原田知世としては、大きくイメージチェンジ(というかチャレンジ)を図った仕掛けの1曲だったようで、なるほど、それまでの路線とは大きく曲調が異なる。
車のCMなので当然といえば当然だが、舞台は車の中で、夜の首都高速?を流しながら、助手席の女が運転席の男から別れ話をされるシチュエーション。
そんな緊張感がイントロから綺麗に貫かれているお陰で、ヒヤッとした冷気を感じさせる曲だ。
今聴くと「カーラジオはこのまま消さないで」といった歌詞に時代を感じさせるが、そのスリリングな曲展開は何回でも聴きたくなってしまう傑作。
作曲、編曲は後藤次利で、私の好きな曲の多くに、この方が関わっていることが多い。
「雨のプラネタリウム」の硬質感
当時、原田知世がパーソナリティのラジオ番組があり、興味本位で何回か聞いたことがある。
内容は覚えていないが、リスナーからの手紙を紹介したりする、よくあるものだったはずで、その合間に「雨のプラネタリウム」がかかるのを目当てに聴いていた。
原田知世はアイドルとは違いメインは役者さんなので、既に出演した映画とかドラマが沢山あったはず。
女性アイドルや芸能人にあまり興味がなかった私はその方面のことを殆ど知らないのに、急に目の前に出現したこの曲の独特の硬質感が琴線に引っかかった。
当時、女性ボーカルにあまり魅力を感じていなかった私にとって、これは大きな事件だった。
歌が上手いとは感じなかったが、ボーカルもサウンドも相まって、冷たくて硬く、カッコいい。
クールビューティーな「雨のプラネタリウム」に前のめりになった私は、原田知世って何者なんだ?と、謎めいた存在にちょっと惹かれた。
パーツは悪くないが…「空に抱かれながら」
そうこうしているうちに次曲シングルがリリースされた。同じく後藤次利による「空に抱かれながら」だった。
「雨のプラネタリウム」的な世界観を継続したプロデュースだったが、こちらは曲展開がちょっと無理筋というか、とっちらかった感じで落ち着きが悪い。
私の第一印象はイマイチで、良いところを見つけようと何度も聴いたが回数を重ねる度に評価は下がっていき、「雨のプラネタリウム」から「空に抱かれながら」に変わってしまったラジオを聴くのも止めてしまった。
「空に抱かれながら」は、イントロからAメロ、Bメロ、サビ、と部分部分で切り取るとなかなか雰囲気があるが、繋げると流れが悪くなる。
一番の原因はサビが弱いこと、更に、間奏が滅茶苦茶なこと、そして「雨のプラネタリウム」で効果的だったオーラス前の「♪やさしくするのは止めてもうこれ以上!」を模したパートが空振りしているのが大きい。
なんか無理をしてまとめた曲という印象だ。
当時はそこまで深く考えなかったが、私の熱はスッと冷め、少し興味を抱いていたことを誰にも言う機会もなく、原田知世のファンになることはなかった。
残念ながら、彼女への関心はこの「雨のプラネタリウム」1曲だけで終わってしまった。