独りでも「T.M.Revolution」
1998年リリース、T.M.Revolutionの7枚目のシングル。
ここで取り上げる曲の中では新しめだが、それでも20数年前。立派な懐メロで悲しい…。
T.M.Revolutionは、テクノユニット「access」の活動を停止した浅倉大介がプロデュースした西川貴教のソロプロジェクトの名称で、略称は「T.M.R」または「TM」。
TMネットワークと紛らわしいなあと当時から思っていたが、浅倉大介はTMネットワークのサポートを務めていたことも理由にあるようで、後に浅倉大介は小室哲哉に「TMの名前を使います」と断りの連絡をいれたというエピソードがある。
ポッと出ミュージシャンの名称が「西川貴教」では弱いと考えたのか、デジロック路線なので「TMN(小室哲哉)」にあやかろうとしたのか定かではないが、ソロなのに複数ユニットみたいな名前でデビュー。
こじんまりした体形に茶目っ気のあるマスク、インパクト抜群のファッション、それに関西芸人風のトーク力を併せ持つ珍しいタイプのミュージシャンで、世紀末のJ-POP界にあって広く好意的な支持を受けた。
大ブレイク真っ最中のシングルカット「蒼い霹靂(へきれき)」
この「蒼い霹靂」は3枚目のアルバムである、「triple joker」のトップを飾った曲で、CMソングに起用されたことからシングルカットされた。
リリース時期はブレイクした「HIGH PRESSURE」の勢いのままヒットした、「WHITE BREATH」と「HOT LIMIT」の間で、強力な2曲に挟まれた位置になる。
よって、T.M.Revolutionのファン以外はスルーしてもおかしくない曲だったが、オリコン週間3位、累計29万枚を売り上げてヒット。
アルバム「triple joker」収録版は稲妻の音から始まる疾走感のあるノリノリの曲で、私はTMRの全曲中で一番のお気に入り。なお、シングル版はアルバム収録版とは曲の構成が違い、冒頭の雷エフェクトは無く、サビから始まってAメロに繋がるうようになっている。
これはこれで悪くないが、私はアルバム版の方から知ったせいかちょっと違和感があり、聴く度に「んん?」っとなってしまう。
やっぱり「triple joker」版がベストだと思う。
CDバブル期の中で存在感を見せたTMR
私は当時デジタルロックの音が最高だと思っていたので、T.M.Revolutionはもろにストライクなミュージシャンだった。
バラエティー番組での、まるで芸人並みのノリツッコミも見ていて楽しかったが、そんな軽い触りとは裏腹に、実は歌が上手く、歌声にも「西川貴教」としての個性に溢れ、ステージパフォーマンスも派手でカッコいい。
お茶らけて見える姿の内側にロック塊を感じさせるミュージシャンだと思っていたら、黒夢の清春とか、バクチクの櫻井敦司など、先輩の大物ロックミュージシャン達に可愛がられている一面もあり、余計に好きになってしまった。
その後も、着ぐるみでNHKに出てきたり、消臭アイテムのCMに出演したりと目にする機会が多かった。
親しみやすくフレンドリーで笑いも取れるが、歌を歌わせれば正統派デジロックを派手なアクションで聴かせ、玄人筋からも一目置かれるという、マルチな立ち位置を確立した貴重な存在。
そんな西川貴教さんには、末永く第一線で活躍してもらいたいなーと思う。