うつ病物語 その145「ベテラン社員の急遽離脱は…」

社内では経理のプロ

この「うつ病物語」の中で何度か触れてきたが、私は、入社してからの27年間、管理部門で経理を中心に、総務や税務、システム管理の仕事をしてきた。

大きな会社では無いので、管理部門に所属しながらも、現場を手伝ったり、原料調達業務を担当したりしてきたし、また、業務とは別種だが相当に疲れる役割である、労働組合のリーダーを務めたりもした。

このように、それなりに色々やってきたが、入社当時から一貫して経験を積んできたのは、何と言っても経理であり、私を育ててくれた当時の上司が役員就任を経て既に退職している今、あくまで社内ではだが、こと”経理”に関してはダントツで私が精通した人物になっている。

うつ病発症により急遽離脱

2018年の2月早々、そんな人物が無期限の休職に入ってしまったのだ。これが、代わりが務まる人材が充実しているとか、しばらくは落ち着いたヒマな時期が続くとかなら良かったが、この時期は、何度も作成し直すことになる年度見通しに加えて当初予算の策定が重なっており、経理担当は一年のうちで一番の多忙を極める時。

休職に入る私には、まともに引継ぎが出来る気力は無く、崩れるように休みに入ってしまったので、5ヶ月間の休職の後半、上司Bとの電話で、「予算も何とか提出したよ」という言葉には、「ああ、皆、大変だったろうに、上手くやってくれたんだな。」と、安堵したとともに、ちょっとした驚きも感じていた。

どんな業務でもそうだが、全てのものが年を経ることに難しく複雑になっている現代、昔はドンぶり勘定のノリが残っていた予算策定は、この15年で経営環境や求められるレベルも激変し、提出期日のタイトさも含めて飛躍的に難易度が上がっていたからだ。

自分無しで予算が出来上がるのか?と思いつつも、居なきゃ居ないなりに出来上がるもの、という相反した思い…。でも、結果的に出来上がったのだから、やっぱり自分なんか居なくても何とでもなるものなのだな、と思っていたのだが…。

一年後…

あれから一年が経ち、別部署で職場復帰した私には関係のない話になってはいたが、また予算策定の時期を迎えていた。

上司B「いや〇〇サン、残業続きのところ悪いんだけど、実は予算なんだけどね、〇〇の△△って…。」

こんな風に、上司Bからの問い合わせを毎日のように受けていた。かつての部下から質問を受けることもあるが、上司Bからの質問や相談が非常に多く、迷惑を掛けて恩義も感じている上司Bとは言え、ちょっと辟易していた。

私「…いや、でも、それなら昨年も同じでしたよね?どうやってやったんですか?」

上司B「あ~、実はさ、ソコのところは四半期ベースで作成するのが精一杯で、月別に展開させてないんだよね。」

私「え?じゃあ、毎月のトレース対応はどうやったんです?」

上司B「うん、出来ないからさ、その度に数字を作りながら一年を過ごしたよ。」

ビックリした。毎月のことで部下達はかえって大変だっただろうし、上司Bも役員や本社を相手にヒヤヒヤ物だったに違いない。その他、色々と話を聞くと、かなりの大雑把振りで経理全般をこなしていることが分かった。

それは、私が想像していたレベルを結構な勢いで下回っていた。幸い、かつての部下達が成長過程にあるので、もうしばらく経てば水準点まで上がってくるとは思うが、これまで、自身に最後残されていた職人魂のようなものでなんとか保ってきた”ウチの会社の経理レベル”が崩れたことを実感した私は、少なからずショックだった。

 

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