うつ病物語 その127「うつ病は病気なんだ!」

「うつ病」は病気なんだ!

うつ病持ちの部下を引き受けたC工場長に対する申し訳ない気持ちは、それなりに大きいものであったが、当事者である私がどう説明し尽くそうとも、C工場長が、罹患した本人である私や、その介護をした妻と同じレベルで”うつ病”を理解することは難しいと思う。

これが、ガンや脳梗塞のような病気だったら、誰しもが患者を心から気の毒に思い、その回復度合いを心配し、リハビリにも全面的に協力するだろう。

しかし、うつ病には、まだまだ誤解が多い上、ただの落ち込み(凹みと言い換えてもいい)と病気によるうつ状態との境界線は非常に曖昧である。何より、自分の精神状態は、自分でコントロール出来るだろう?という思い込みが多くの人にある。

かくいう私も、この病気を罹患するまではそう思っていた。「物事への考え方を変えればいいんだよ」とか「深く考えずに気楽に」とか「あの人は繊細だから」という先入観があったし、うつ病になる人は「気が弱い人」「気難しい人」という風に勝手に定義していた。

…しかし、違うのだ。回復期を経て職場復帰し、過去形で話せるようになった今だから話せることだが、うつ病による”うつ状態”は、自分では全くコントロール出来ないと断言したい。

だからこそ、れっきとした”病気”なのである。これは、脳疾患なのだ。いずれ、近い将来には、もっとハッキリ解析される日がくるだろう。今は、一人でも多くの人に、この事実を知ってほしいと切に願うばかりである。

C工場長の配慮に感謝

話がそれてしまったが、幸いなことに、C工場長は、うつ病に関して、気力で何とかなると思っている役員Aや、それに近い発想をしたり心配したりとバラつきのある上司Aと違い、重篤な病気だという認識があるのは間違いなかった。

なぜかはよく分からないが、私の発症の直接の原因となった役員Aが、かつて次々に退職に追い込んだ部下達の元々の職場がC工場長のところだったため、役員Aの傍若無人な振る舞いと、退職に至った経緯を良く知っていることが大きいかもしれない。

C工場長は、普段は他の人達への時と全く変わりなく、私にも接してくるが、本当に時々、「休みの日はちゃんと休めているか?」とか「適当なところで上がっていいからな」とか、適度な距離を取ったところから気遣ってくれていた。

それに、全くの異業種に入り込んだ私に対してのプレッシャーの掛け方も、ゆっくりと段階を踏んだものであり、こちらとしては色々と吸収しやすかった。

C工場長には、「本当にリアルなうつ病という病気」は理解出来ないと割り切ってはいるが、これだけの配慮を頂ける上役には、いくら感謝しても足りないくらいである。

 

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