うつ病物語 その114へ「職場復帰後の心配」

職場復帰後の心配

私が職場復帰したのは7月の第一週からだったが、実は、復帰した後、少し”揺り戻し”という現象が起きるのではないかという不安があった。

私は勿論、新しい職場に異動することも、「この歳で管理部門から現場に行ってやっていけるのか?」と、心配には違い無かったが、それよりも、復帰後に”うつ症状”が出てくることを恐れていた。

最初は短時間で浅い”落ち込み”でも、色々なことが複合したりすると、長期間で深い落ち込みになってしまい、それが続くと、最終的には「再発」というものに繋がってしまう…。

復帰初日から数日は、緊張感もあるし、うつ病の症状が出ることはないだろうが、しばらく経った後、当初の緊張も緩んできて、徐々にリアルになる会社の状況を憂いたり、また、これからの道のりの果てしなさ、そして改めて思う自身の現状に対し、落ち込みを感じたりはしないだろうか?

そんなことを頭の片隅で思う日々だったが、更に今年は、正に”蝦夷梅雨”というやつで、毎日のように雨が降っていた。こう雨が続くと、普通の人でも鬱陶しい気分になるが、うつ病で休職している最中は、それがより顕著に出ていたので、朝起きて雨降りの空を見上げる度に、気持ちを奮い立たせるように気を付けて出勤していた。

ある朝の風景

私「おはよう」

妻「あ、おはよう」

私「…いや~また雨降りだよ。まったくいい加減にしてほしいな。」

妻「そうだね~、こりゃ子供達の部活も休みかなあ?」

私「そうかもね。」

そんな会話をしながら、手早く準備を済ませる。工場に異動してからは朝の出勤が早いので、最近は妻に朝食用のおにぎりを握ってもらい、それを持って出勤するスタイルになっている。

私「じゃ、行ってくるわ。」

妻「いってらっしゃ~い!」

あえて高いテンションで送り出す妻。細やかな気遣いが嬉しい。うつ病休職の前半から中期は、”介護者”と”患者”の関係でしかなかったが、5ヶ月の休職期間、回復期を経て、やっと夫婦らしくなってきていた。

雨は思っていたよりも激しい。会社までの道中、結構な勢いで雨粒がフロントガラスを叩くが、かつてのような、ズシリと重い気分にはならずに済んでいる。私は安堵した。

休職中は、低気圧が近づいて天候が悪化する時には、決まって体調を崩していた。ザワザワっと背中から胸に抜けるような悪寒を味わい、自分が病人であることを再認識する瞬間…。

かなり調子が良くなっていた時期にも、この症状は続いたので、うつ病の症状の中でも、しつこい方なのかもしれない。まったくもって嫌な病気だ。

しかし、天候不順が続いた復帰後の一週間、おかしな症状が起きることは無かった。私は、大事な大事な職場復帰からの一週間を、無事に完走することが出来たのだった。

 

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