うつ病物語 その184「うつ病者は急に思い立って『鬼滅の刃』を見に行けない」
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私の病気は職場では完全に過去になった

職場復帰して2年と4カ月経過。自分自身がかつて、うつ病で苦しんでいた時のことを思い出すことは日常で殆ど無いし、職場にいる人達も私に対して気遣う感じもなく、C工場長でさえも、うつ病の状態について様子伺いをしなくなってかなり経つ。もう、完全に過去のことになったのだ。

ただしそれは職場においてはの話…。

「映画で気分転換」は健康な人だから出来ること

今、私の職場は繁忙期の真っ最中で、工場の操業をスムーズに行うため、日曜日の休日を月曜日に振り替えることが続いており、息子達は学校、妻も子供関係の用事で、私だけが休日というパターンが多い。

ある月曜日の休日、コーヒーを飲みながらPCを眺め「たった一日の貴重な休み…どうしようかな?疲れているからダラダラして過ごすかな…、それとも早めにマイカーのタイヤ交換でもやってしまうかな?」とボーっと考えていると、テレビで、空前の大ヒットを記録している映画「鬼滅の刃」を紹介していた。

このアニメは家族で見ていたので凄く面白いことを知っていたし、息子達もそれぞれの友達と見に行く約束をしていた。

そうか…、どうせ一人なんだし、映画を見るのもアリか!

そう思った私は、上映スケジュールを確認して朝イチのチケットを予約、直ぐに家を出て10分前にシネマに到着、月曜日の朝だというのに結構な繁盛ぶりなのには驚いたが、無事に堪能し、食料品を買い物して昼過ぎに帰ってきた。

妻「映画、どうだった?」

私「うん、滅茶苦茶良かったよ~!マジに凄いわ『鬼滅の刃』やっぱり面白い!」

近いうちに小学生の下の子の付き添いで見に行く予定の妻には、あまり映画の詳しい話は出来ない。

私「いやー2回見てもいいくらいだわこの映画!無理やりにでも一緒に連れて行けば良かったな~」

ここまで話をして、ふと気が付いた。

私「…そういえばさ、一人で映画に行ったの、生まれて初めてだったわ。大体、こんな風に急に思い立ってバタバタとチケット取って映画に行ったことなんかないな…。」

妻「あはは、あのね、実はアナタの今朝の行動力に驚いて、〇〇(私の義母)と話してたんだよね『いやー元気だわ~』って!もうちょっと強く押していれば私も出かけたかも?」

妻は笑いながら喜んでいる。

私「え?…そうか、そりゃ勿体なかったな。」

妻「〇〇ってさ、まあ普段はのんびりしているんだけど、急に行動力を出して引っ張っていく感じもあったんだよ?覚えてる?」

確かに妻にそう言われてみると、私にはそういう面もあった。急に出かけるぞ!とか、〇〇を買うぞ!とか、そんな感じ。

私「…うん、そうだったかも、休職中は映画を見る時間なんか山ほどあったけど、そんなこと考えもしなかったな…、やっぱり元気になったのか、俺は。」

妻「そうだと思うよ!」

やはり、一緒に暮らしている妻が一番、以前の私と、病気で変化した私、そして今現在の私の違いが良く分かっている。

落ち込んだり疲れているから映画を見て気分転換…。

これは健康な人にしか出来ないことだ。うつ病の人に、映画やスポーツで気分転換したら?と勧める人は少なくないが、もっと病気のことを正しく知ってほしい。

うつ病の人は、映画を見たいと思わないし、その行動力もない、またどんなに良い映画でもその素晴らしさをきちんと受け取れない。

たとえ空前の大ヒット映画でも楽しむことが出来ない、とても悲しい病気なのだ。

 

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