うつ病物語 その43「うつ病による能力低下」
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うつ病の症状は落ち込むだけじゃない

落ち込んだり沈んだりといったメンタル面については、安定してきていたのだが、一向に改善の兆しが見えず、危惧していることがあった。それは仕事への集中力の無さや意欲の欠落、また先々のスケジュールを組んで進めていく業務が滞ることだった。

この頃、私の部署では新しい業務システムを導入するため、定期的にベンダーの者と打ち合わせを重ねており、詳細を詰めたりシステムの設定作業等を行っていた。このような時には、当然、次回の打ち合わせに備えて、内部ですり合わせをしたり、疑問点や課題を整理したり、上長に説明したりといった様々な業務が必要になるのだが、当時の私の頭では、日々、早くこうしたことをやらなくては、と思って焦るものの、手も頭も全然動かなかった。

これはやる気の問題だろう、一体何を甘えたことを言っているんだ、と思われるかも知れない。うつ病になる前の私でも、そのような考えが支配的だった。しかし、元気だった頃の自分の状態と比較して、明らかに違うのだ。これは、他人に非常に説明しにくく、自分自身がどう気合を入れようとしても、如何ともし難かった。

うつ病の人は何が出来て何が出来ない?

うつ病といっても色々な状態がある。極度に落ち込んで自殺が頭に浮かぶような時は、勿論、仕事は殆ど出来ないし、家でリラックスすることも難しい。では、そこまではいかず、気分の激しい落ち込みは無くて一見普通に見える状態はどうか。

ちょうどこの頃の私がそうだったが、この時は、家でリラックスして食事をしたり、のんびり釣りを楽しんだりすることはまずまず出来た(ただし100%楽しむことは出来ない)。

そして、この段階では仕事もある程度出来る。例えば、文書の校正をしたり、定型の損益計算書の今月分を作成するようなことは出来る。しかし、課員の状況を察知して関係部署に先手を打っておくとか、新しい社内規定をゼロから作成して周知するとか、新しい業務システム構築を主導して進めるとか、といった仕事には非常に苦労する。

要するに、一人で黙々とやるような仕事や単純作業は出来るが、新規だったり、少し高度な仕事になると極端に出来なくなるのである。私の場合、管理職として求められている仕事の多くが出来ないのと一緒なのだが、この当時は、なぜこのような状態に自分がなっているのかが、客観的に分からなかった。

時折訪れる、うつ病の低調期のせいなのか、それとも単に自信を失っているだけなのか、いや、そもそも能力が欠けているのか…。全部が複合的に関係しているところまでは整理できたが、打開策はどうしても出てこず、一人苦悩していた。

 

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